税務調査は年間を通して実施されているものの、実は法人の税務調査においては、決算月によって税務調査に入られる確率が大きく変わることは、あまり知られていません。
本稿では、法人の決算月と税務調査の件数・確率について考えてみましょう。
決算期別の税務調査時期
税務署が法人に対する税務調査の選定を行うには、原則として下記のルールがあります。
6~1月決算法人:1~6月(下期)の調査
日本の場合は、3月決算法人が約20%あるのですが、決算期別の法人数(申告数)は、毎年国税庁から統計資料が情報公開されています。
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/hojin1997/11.htm単純な申告数を見ると、
6~1月決算法人:150万社強
となっています。
税務調査の時期と件数
さて、これを前提に税務調査の確率を考えてみます。
7~12月(上期)は税務調査の最盛期です。一方で、1~6月(下期)の時期というのは、2~3月の確定申告時期を含んでいます。
確定申告時期は、法人の調査官といえど、個人課税部門の応援に行かなければなりませんし、また税理士会との協定により、確定申告時期はできる限り税務調査をしないことになっているのはご存知のところでしょう。
非常にざっくりな話ではあるのですが、調査官の税務調査割当件数については、下記のような数字となっています。
1~6月(下期)の調査件数:約10件
導き出せる結論は・・・
これだけの情報でも十分理解いただけると思いますが、
1~6月(下期)の調査件数の方が少ない
という2つの事実から考えると、導き出せる結論は単純に、
【6~1月決算法人の方が調査確率が低い】
ということになります。
誰しもが導くことができる結論なのですが、この事実を喧伝している人はいません。
税務調査の確率だけで決算期を考えることは実務上ないとは思いますが、現実的には決算期は簡単に変更できますので、調査が気になる経営者にはぜひ提案してください。