こちらの書式にて、「米国非居住者(外国人)の子孫に対する不動産および世代間スキップ移転(GST)の遺産税申告及び納税を計算」する事になります。
書式はPart Ⅰ~Ⅲ.からなっており、遺産金額は末尾のSchedule AおよびSchedule Bを使って合計を記入した後にPartⅡに転記する方法になります。
※ 提出に際しては、すべての言語文章には、英語の翻訳を添付する必要があります。
Ⅰ.それぞれのPartに記載される内容
1)Part I
被相続人の名前、社会保障番号(SSN)または個人納税者番号(ITIN)等の情報を入力します。(ただし、以前に持っていなかった場合は空欄)
2)Part II
遺産税の計算と納税額を計算します。末尾スケジュールAとスケジュールBの金額を転記し、各種控除額を差引いて遺産税額を計算します。
3)Part III
一般情報を記載します。このパートでは、前回記述しました駐在員であったかどうかを判定する被相続人に関する質問などが多くあります。
たとえば、
①.質問6a:被相続人は米国の市民または居住者でしたか?
(Had the decedent ever been a citizen or resident of the United States?)
「はい」と答えた場合は、次のステートメントリストの添付が必要です。
*被相続人の市民権証明
*被相続人が米国での帰化手続きを通じて米国市民になったのかどうか、そして被相続人が米国市民権または居住権を失った日の証明。
②.質問6b:被相続人は死亡日前10年以内に米国市民権または居住権を失っていますか?
(If “Yes,” did the decedent lose U.S. citizenship or residency within 10 years of death? )
「はい」の場合は次の手続きを参照します。
*被相続人が死亡日前10年以内および2008年6月17日より前に米国市民権または長期居住権を失っていても、それが米国の税金を回避することが目的ではなかったというあなたの立場を維持するための文書を添付します。
・・・以上のようにPartⅢには重要な質問があります。
Ⅱ.総遺産全体を記載する
1)パートⅡへ転記する総遺産全体
申告書末尾のスケジュールAとスケジュールBから転記されます。
スケジュールBでは課税対象遺産額を導出するために、スケジュールAの合計から控除可能額を減額します。
2)総遺産全体の考え方・・・
総遺産全体は、非居住者の外国人の子孫についても、米国市民または居住者の場合と同じように計算されます。それは、場所を問わず、被相続人が有益に所有するすべての財産で構成される次のような財産権も含まれます。
3)資産の時価評価の日
代替評価日を使用することも選択できます。この場合はスケジュールAの冒頭にあるチェックボックスを[はい]にします。この選択をする場合は、被相続人の死亡後6か月以内に売却、交換、またはその他の方法で処分された場合その処分日で評価します。もし、その期間中に処分されなかった資産は、被相続人の死亡から6か月後の日付で評価されます。
※ 但し、代替評価日の選択により、遺産控除額の適用後の総遺産額の価値と支払われるべき正味相続税の両方が減少しない限り、代替評価を選択することはできません。
スケジュールAにて資産の代替評価日を選択した場合は、2行目に報告されている資産にも使用します。それ以外の場合は死亡日の時点での金額で評価することができます。
Ⅲ.遺産がどこにあるかの判断
1)原則
各国との遺産税条約で別段の定めがない限り、資産が米国にあるかどうかを判断するには次の規則になります。
物理的に米国にある場合は米国とされます。
非居住外国人が所有し、米国内に所在する芸術作品については、死亡日に芸術作品が次にある場合は除きます。(公開展示専用、美術館に貸与、展示への移送途中)
株券が物理的にどこにあるかには関係なく、米国法に基づいて組織された企業の株式は米国内にある資産であり、他のすべての企業株式は米国外にある資産と判定されます。
また、申告書には、CUSIP(統一証券識別手続き委員会)番号(主要な取引所で取引されるすべての株式と債券、および多くの非上場証券に割り当てられる9桁の番号)を記載します。通常、CUSIP番号は株券の表面に印刷されていますが、株券がない場合は証券会社の明細書に記載されている若しくはエージェントで確認できます。
以下の預金で米国内での貿易または事業に関連していない場合は米国外にあるものとして扱われます。
*外国企業の米国支店への預金
*剰余金等を支払う契約に基づき米国の保険会社が保有する金額
*米国銀行の外国支店への預金
2)譲渡条項について
譲渡条項(§2035条、2036、2037、および2038)によった場合は、その資産はまだ米国内にあると見なされ被相続人の総資産に含まれて、スケジュールAに記載する必要があります。たとえば、有形動産(§2038条)が被相続人の死亡前や死亡時に米国外に移動された場合でも、その譲渡の日に米国内に存在していた場合は総資産に含まれます。
Ⅳ.各種の控除制度について
所得もしくは税額から控除されるものには、一般的に次のようなものがあります。
次の項目は、米国で発生したか支払われたかに関係なく控除できます。
葬儀費用・不動産に対する管理費等・未払住宅ローン、盗難または火災、自然災害などで被相続人から補償されていない損失。
国内事業体または米国での使用の譲渡の場合にのみ、慈善控除を受けることができます。
条約で別段の許可がない限り、生存配偶者が米国市民である場合、または資産が一定の適格国内信託(QDOT)の場合など、フォーム706のスケジュールMで選択した場合にのみ婚姻控除を受けることができます。
スケジュールAに記載されている資産について、州またはコロンビア特別区に支払った遺産税の控除を受けることができます。
但し、通常申告書を提出してから4年以内にこの控除を請求する必要があります。
統一控除額は、一般的には最大13,000ドルです。
過去の贈与税額控除の計算が可能です。
同じ資産に対して外国で支払った相続税がある場合、各国の租税条約に基づく控除の計算が可能になります。(租税条約締結国は前回記述)
★ 記述は2021/02末現在に基づく一般的な米国遺産税申告書の簡易内容になりますので、詳細なことは個別にお尋ねください ★
See)
*Estate Tax for Nonresidents not Citizens of the United States
*About Form 706-NA, United States Estate (and Generation-Skipping Transfer) Tax Return
*About Form 4768, Application for Extension of Time To File a Return and/or Pay U.S. Estate (and Generation-Skipping Transfer) Taxes
*Instructions for Form 706-NA (Rev. November 2020) United States Estate (and Generation-Skipping Transfer
*Frequently Asked Questions on Estate Taxes
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