[soudan 10870] 契約者変更をした場合のみなし相続財産の生命保険金
2025年5月16日

税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】
相続税・贈与含む(井上幹康税理士)

【対象顧客】
個人,法人

【前  提】
持分のある医療法人社団Aの理事長であるBは、
2024年5月に膵臓癌にり患していることが判明し、余命半年程との診断を受けた。
医療法人Aは承継者がおらず、医療法人Aの売却もしくは解散清算する方向となった。
一方、医療法人Aは、2018年3月に医療機器の購入を機に、
医療法人Aを契約者、理事長Bを被保険者、医療法人Aを保険金受取人とする、

保険期間10年の保険料掛け捨て、時の経過とともに保険金が逓減していく掛け捨て保険に加入した。
保険料は月額89,640円であった。
その保険金を、2024年6月まで毎月支払っていた。
理事長Bが半年の余命宣告を受けたとはいえ、実際にはいつまで命があるかどうかはわからず、
理事長Bが存命中に医療法人Aを他社が購入した場合、その保険契約が続くかどうかはわからず、

また、理事長Bが存命中に、医療法人Aが解散清算した場合には、
その生命保険契約は解約となってしまい、理事長Bの死亡時に、生命保険金は支払われない。
そこで、解約返戻金のない掛け捨て保険でもあり、確実に生命保険金が支払われるように、

2024年7月1日に、その生命保険契約の契約者を医療法人Aから理事長Bに、
保険金受取人を理事長の妻Cに無償で変更した。
被保険者は、理事長Bである。
その後、理事長Bの口座より月額保険料89,640円を
2024年7月、8月、9月、10月に支払った(合計358,560円)。
理事長Bは2024年10月22日に死亡し、2024年12月20日に
保険金受取人である理事長の妻Cが、その死亡保険金23,208,000円を受け取った。
現在、医療法人Aは2025年4月2日に解散し、清算中である。

【質  問】
理事長Bの相続税の申告において、相続税法3条には、
みなし相続財産として計上する生命保険金の金額は、
当該保険金のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で

被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分とある。
今回の事案である掛け捨て保険の契約者を医療法人Aから理事長Bに変更をした場合の、

当該契約に係る保険料で被相続人Bの死亡の時までに払い込まれたものの全額とは、
医療法人Aが支払った保険料及び被相続人Bが支払った保険料の合計か、
それとも、契約者変更以降の被相続人Bが支払った保険料のみの合計か。
生命保険会社のお手続き完了のお知らせには、既払込保険料は7,171,200円とあり、

医療法人Aと被相続人Bが支払った保険料の合計額と思われる金額が記載してある。
契約者名は、被相続人Bの名前が、受取人口座は被相続人Bの妻Cの口座が書いてある。

当方の見解
契約者を医療法人Aから理事長(被相続人)Bに契約変更した
この生命保険が、解約返戻金のある生命保険であれば、
それは、医療法人Aが支払ってきた月額保険料は前払いのある部分のある保険料ということであり、
それは実際に支払われた生命保険金23,208,000円の原資の一部となっているのであるから、

医療法人Aが支払った保険料と理事長(被相続人)が支払った保険料の合計額が支払われた
生命保険料23,208,000円に対応する保険料となり、これが、
当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額になると思われる。
しかし、この事案の生命保険は、掛け捨て保険であり、
医療法人Aが支払った保険料と実際に支払われた生命保険金23,208,000円とは、なんの関係もなく、
被相続人が死亡していた時に、理事長(被相続人)Bが契約者である保険が有効であったので、

生命保険金23,208,000円が被相続人の妻に支払われたものであることからすると、契約者変更後、
理事長(被相続人)が支払った保険料の合計358,560円のみが、
生命保険金23,208,000の支払を受けるために、

当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額となり、
生命保険金23,208,000円全額が、みなし相続財産としての生命保険金になると考えます。
また、仮に、この解約返戻金のない掛け捨ての生命保険において、
当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに
払い込まれたものの全額を、医療法人Aが支払った保険料と
理事長(被相続人)が支払った保険料の合計額(7,171,200円)とした場合、
みなし相続財産である生命保険金は23,208,000円×358,560円÷7,171,200円=1,160,400円
となり、残りの22,047,600円は、医療法人Aからの一時所得
(被相続人の妻は、2024年10月以降、役員報酬をもらっていない理事
であったため、定期同額ではない役員給与か)とも思えるが、
保険事故が起こった時点で、保険契約者が医療法人Aではないにも
かかわらず、医療法人Aからの一時所得や役員給与とするのは、おかしいと思われる。
よって、やはり、契約者変更後、理事長(被相続人)が支払った保険料の合計358,560円のみが、

生命保険金23,208,000の支払を受けるために、当該契約に係る保険料で

被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額となり、
生命保険金23,208,000円×358,560円÷358,560円=23,208,000円全額が、
みなし相続財産としての生命保険金になると考えます。

【参考条文・通達・URL等】
相続税法第3条第1項第1号

【添付資料】
https://kachiel.jp/sharefile/sougosoudan/250516_1.jpg



質問に対する回答部分を閲覧できるのは

税務相互相談会会員限定となっています。

※ご入会日以降に本会へ新規投稿された質問・回答が閲覧できます


税務相互相談会では、月に何度でも

プロフェッショナルに税務実務の質問・相談が可能です。


税務相互相談会にご入会の上

ぜひ、ご質問を投稿してみてください!