[soudan 10663] 2社目の法人設立の否認リスク
2025年5月08日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】

法人税(中川輝美税理士)


【対象顧客】

法人


【前  提】

A社はB事業とC事業のオンライン講座を運営しています。

A社の役員は社長E氏とその妻であり、従業員はいません。

B事業とC事業はともに受講生との講座内でのやり取りは主に社長であるE氏が行っています。


この度、C事業を運営する別法人D社を設立することを検討しています。

B事業とC事業の受講生からもらう講座代金は、一括払いの他に

2回から24回払いの分割払いで対応していて、決済会社を利用しています。


受講生については受講期間を終了したものも含めると累計2,000人います。

B事業とC事業はともに集客媒体はYouTube・InstagramなどのSNSで、

YouTubeにおいては登録者数が50万人のチャンネルがあります。


事業規模としては、過去3期の売上平均はB事業が7億円、C事業が3億円です。

D社を設立したあとは、B事業は今まで通りA社において全てを行いますが、

C事業については、受講生との契約や受講代金の回収業務は

今まで通りにA社が行い、C事業の業務の一部をD社に業務委託する手法を採りたいと思っています。


理由は以下のとおりです。

①別法人を設立する理由

 事業ごとの利益を明確に分けたいためです。法人1つでも

部門会計を採り入れることで損益計算書は分けられますが、

貸借対照表を分けることが難しいためです。

今後、事業の売却を考えたときに会社を分けておいた方が買手探しに有利に働く可能性があるためです。


②業務委託の形を採る理由

 D社にC事業を丸ごと移す形で、A社がC事業に全く関わらない方法(適格分割または事業譲渡)の場合、

受講生との契約や決済会社との契約も全てやり直さないといけない可能性があるためです。


受講生に会社分割や事業譲渡のお知らせをしたときに受講期間や

分割払いの途中の受講生の途中解約や受講代金の滞納リスクが

高くなる可能性もあるためです。決済会社の決済手数料が1つの会社でまとめた方が安くなる可能性があるためです。


現在A社におけるC事業にかかる業務は以下の通りであり、

全て外注業者に依頼しています。

①受講生との契約・解約業務

②受講代金(債権)の回収・管理業務

③SNS(YouTube・Instagram等)の動画作成・発信による集客業務

④受講生・見込み客(将来の受講生)向けのイベントの企画・運営

⑤その他講座運営にかかる間接業務(事務所家賃・一般経費の支払いなど)


【質  問】

(1)A社とD社で以下のような契約を締結した場合に、

税務上の否認リスクはどのようなことが想定されますか?

 ・前提①と②の業務についてはA社が行う。

 ・前提④と⑤の業務についてはD社が直接行う。

 ・前提③の業務については、A社が行うものもあれば、D社が直接行うものもある。

 ・A社が前提①から③の業務からC事業の利益を計算して業務委託報酬をD社に支払う。


(2)SNS(YouTube・Instagram等)の動画の所有権はA社にあり、

これらを活用することで、D社は収益を上げていると思いますが、

A社からD社への業務委託報酬を計算するときには、

これらの動画の使用料も計算根拠に織り込むべきでしょうか?


(3)上記SNS動画の使用料については、ある程度合理的と思われる

計算根拠(登録者数、再生数、相場など)を基に計算すれば、

否認リスクを下げることはできますか?例えばどのような根拠を基に

計算すればよいでしょうか?


【参考条文・通達・URL等】

法人税法第132条