[soudan 09578] 開業後3年未満の会社における「開業」の定義・資本剰余金からの配当
2025年3月14日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】


法人税(中川輝美税理士),相続税・贈与含む(井上幹康税理士)


【対象顧客】


法人


【前  提】


当社は持株会社体制を進めることになり、

まずは本体の事業会社の親会社(ホールディングカンパニー(以下HD社))を株式移転で設立しました。

将来的にはHD社の株式を後継者にも移動させる予定があります。


【質  問】


【質問その1】開業の時点


財産評価基本通達上、開業後3年未満の会社は純資産価額方式が適用されるため、

なるべく早く開業した上で3年を経過したいと考えています。


ここでいう「開業」とは会社の定款目的に即して、

実態として開業の事実があるかで判断をされると考えられますが、

HD社の定款目的に「当該会社等の事業活動を支配・管理する事業」とある場合の

「開業」の時点がいつであるかについて、ご教授ください。


 ①株式を所有していれば開業と捉えて良い。

  (つまり、設立後すぐに開業したと捉えて良い)

 ②子会社から配当を受け取っていれば開業と捉えて良い。

 ③株主へ配当を支払っていれば開業と捉えて良い。

 ④上記以外


 なお、HD社の定款目的は以下のようになっています。


《定款》

(目的)

第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

 1.次の各号の事業を営む会社(中略)その他これに準ずる事業体の株式又は持分を所有することにより、

   当該会社等の事業活動を支配・管理する事業

 (1)○○○○の販売

((2)~(7)は記載省略)

 (8)前各号に附帯又は関連する一切の事業

 2.前号(1)から(7)に掲げる事業

 3.企業等の運営、営業、内部管理の代行、請負、支援

 4.各種事務及び企業等の経理、財務、人事、総務の代行、請負、支援

 5.企業の買収、合併、会社分割、株式交換・移転、事業譲渡、資本提携、業務提携等の

   企画立案、助言、斡旋及びその仲介業務

 6.経営コンサルティング業

 7.株式等有価証券の保有、運用、管理及び売買

 8.前各号に附帯又は関連する一切の事業



【質問その2】資本剰余金からの配当と開業


質問その1で「③配当を支払っていれば開業と捉えて良い」に該当するとした場合において、

HD社は利益剰余金(利益積立金)がないため、その他資本剰余金からの配当を行うことを考えておりますが、

その他資本剰余金から配当をしたとしても(開業後3年未満の会社の判定上)開業したとすることができるでしょうか。


<HD社設立時の仕訳>

(借)子会社株式     51,000万円

(貸)資本金       1,000万円

  その他資本剰余金   50,000万円


【質問その3】資本剰余金からの配当の税務処理


資本剰余金からの配当について法人税法24条1項では「資本の払戻し」と規定されており、

資本剰余金の減少に伴う剰余金の配当はこの規定の適用を受けることになっています。


自己株式の取得の場合と同様に、①資本金等の額の減少と、②交付金銭の額(払戻額)を比較し、

②が①の額を上回る場合はその超過額について利益積立金額の減少として処理することとされています。


資本金等の額の減少額と利益積立金額の減少額については以下のように区分計算することとされています(法令8条1項16号、9条1項11号)。


◆資本金等の額の減少額=払戻直前の資本金等の額×(払戻により減少した資本剰余金の額÷前期末の簿価純資産額)

 ※払戻直前の資本金等の額がゼロを超え、かつ前期末の簿価純資産額がゼロ以下である場合には括弧部分は1とする。


◆利益積立金の減少額=払戻額(交付金銭等の額)-資本金等の額の減少額


この計算において設立初年度であるHD社については、

前期末の簿価純資産額がゼロなので(設立初年度につき前期末がないため)みなし配当金額はない、

と計算すれば良いでしょうか。


【参考条文・通達・URL等】


(参考条文)開業後3年未満の会社の評価

財産評価基本通達

189-4  土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価




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