税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
相続税・贈与含む(井上幹康税理士)
【対象顧客】
個人
【前 提】
父:被相続人
子:相続人
相続人(子)は10年以上前から、生活費や遊興費につき消費者金融や、クレジットカードのキャッシングで限度額まで借り入れをし、
返済ができなくなると被相続人(父)に肩代わりしてもらっている、ということが繰り返されていました。
つまり、限度額一杯まで借金→返せなくなり父に肩代わりしてもらう→また借入枠が空くので再び限度額いっぱいまで借金
→また父に肩代わりしてもらう・・・の繰り返しが10年以上続いていて、父の肩代わり額はトータルで3000万円程度と想定されています。
子は2023年5月ごろまでは仕事をしていましたが、それ以降は現在まで無職です
(軽い認知機能障害等があり、仕事のミスが多発したため退職した)。
仕事をしている時期も、子は給料で借金の返済はしていたが、
最終的にはそれでは到底返せなくなり、父が肩代わりした、ということが過去何度もあります。
なお、被相続人の相続開始の前に、子は破産申し立てをするため、
弁護士に依頼して申し立ての準備をしており、実際に申し立てをする寸前まで進めていましたが、
被相続人の死亡により申し立ては取り下げました。
また、子は父が所有するマンションに居住しており、
マンション管理費や水道光熱費、通信費等は父が負担していました。
【質 問】
上記前提状況において、父が生前肩代わりしていた約3000万円は債務の肩代わり返済なのでみなし贈与に当たり、
通常であれば、父から子への贈与として、贈与の時効未到来分(2018年以降の贈与)については
子が贈与税申告をするとともに、相続開始前3年以内の贈与については、子は贈与加算として相続財産に加算する必要があると思います。
ただし本件では、子が資力喪失の状態であったために
父が肩代わりしたのであるから、上記みなし贈与は全て贈与税が非課税であり、
子は時効未到来分の贈与税申告も不要で、相続開始前3年以内の贈与についても相続財産への加算は不要と考えてよいのでしょうか。
本件の場合、借金の中に生活費だけでなく遊興費も含まれていますが、
それでも認められるのでしょうか。
借金の肩代わり弁済は、残金一括返済の方法が主でしたが、毎月の返済についても一部父が返済金を子に与えていました。
これについても原則は贈与税課税だが、本件は資力喪失をしていると判断されて、贈与税は課税されないという認識でよいでしょうか。
本件は、所得税法第9条第1項第10号に規定する
「非課税とされる資力喪失による譲渡所得」と要件が類似していると認識しております。
タックスアンサー No.4424 債務免除を受けた場合を見ますと、
債務免除等による利益を受けた場合であっても、
債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、
債務の免除を受けたまたは債務者の扶養義務者に債務の引受けまたは
弁済をしてもらったときは、その債務の弁済をすることが
困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。
とあり、この「資力を喪失して債務を弁済することが困難」の意味については所得税基本通達9-12の2に、次のように記載があります。
9-12の2 法第9条第1項第10号及び令第26条
《非課税とされる資力喪失による譲渡所得》に規定する
「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合とは、
債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、
現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、
近い将来においても調達することができないと認められる場合をいい、
これに該当するかどうかは、これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する。
本件を、所得税基本通達9-12の2に照らし合わせてみると、
〇債務者の債務超過の状態が著しく
→肩代わり弁済をしてもらう直前は債務超過であり、
肩代わり弁済をしてもらわないとどうにもならない状態だったと思われるので、該当すると考えられる。
肩代わり弁済後は一時的にせよ資産超過になっているものの、その後、再度借り入れを行って再び債務超過になる、という繰り返しであった。
〇その者の信用、才能等を活用しても、
現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、
近い将来においても調達することができない
→仕事に就けないため子は自力での資金調達はできない。
父の相続発生によりかなりの額の財産を取得することになったが、
これは上記通達の最後尾の「これに該当するかどうかは、
これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する。」に当てはまるため、判断には影響しないといえる
したがって、本件においては上記みなし贈与は全て贈与税が非課税であり、
子は時効未到来分の贈与税申告も不要で、
相続開始前3年以内の贈与についても相続財産への加算は不要ではないかと考えています。
ただ、
〇借金の肩代わりが何度も繰り返し行われているが、
1回目の肩代わりの際に今後借金ができないように消費者金融・カードローンを解約すべきであった。
それがなされていないため債務肩代わり額が増えたのだから、それは当事者の責任であり、贈与税の非課税適用は認められない
〇生活費はともかく、遊興費を原因とする借金の肩代わりまで、贈与税が非課税とはならない
という見解もあるようなので、判断に迷っております。
【参考条文・通達・URL等】
相続税法8条
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4424.htm
タックスアンサー No.4424 債務免除等を受けた場合
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/03.htm
所得税基本通達9-12の2
質問に対する回答部分を閲覧できるのは
税務相互相談会会員限定となっています。
※ご入会日以降に本会へ新規投稿された質問・回答が閲覧できます
税務相互相談会では、月に何度でも
プロフェッショナルに税務実務の質問・相談が可能です。
税務相互相談会にご入会の上
ぜひ、ご質問を投稿してみてください!