[soudan 06103] 贈与か名義財産かの判定
2024年10月09日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。

【税  目】

相続税・贈与含む(井上幹康税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

夫が被相続人、妻が相続人です。

夫から妻へ、生前に計5000万円ほどの金銭の移転があります。

金銭の移転方法は次の2つのパターンがあります。
・妻の銀行口座に夫から入金されたあと、妻が妻名義の証券口座に移管
・妻名義の証券口座に夫がATM等で直接入金

いずれの場合も最終的には夫の金銭が妻名義の証券口座に入り、
そこで債券等にて運用されて今に至るまで残っているという状態です。

なお、妻は、上記の他、妻自身の原資にて妻名義の証券口座で
自身の運用資金も運用しています。
そのため、夫からの入金があったこの証券口座の存在を知らなかった、
ということはありません。
つまり妻名義の証券口座の中に、夫の財産が原資のものと
妻固有の財産が原資のものが混ざっており、
妻名義の証券口座そのものの管理・運用は妻が行っていました。

当該金銭については妻は贈与税の申告・納付を行っておらず、
贈与契約書も存在しません。
ただ、妻としてはこの資金は自分がもらったものなのだろう、
という認識はなんとなくはあるようです。

また、当該妻名義の証券口座での運用資産の決定や注文等は、
夫が証券会社に連絡して行っており、意思決定の最終確認として
妻の承諾を証券会社に伝えたうえで行っていたようです。

なお、妻名義の証券口座で運用された有価証券の果実(利息等)は、妻が受領していました。

【質  問】

上記前提のような状況で、当該金銭は被相続人の名義財産(預り金)として、
相続財産に計上する必要があるでしょうか。
もしくは、贈与を受けた財産であるから、贈与税の時効が
到来していないものは今から贈与税申告を行い、時効が到来しているものは何もしない、
という処理とすべきでしょうか。

また、名義財産(預り金)として相続財産に入れるとした場合、
例えば相続発生の12年前や17年前のものもありますが、
これらについても入れておくべきなのでしょうか
(税務署がデータをさかのぼるとしたら10年前までと思われるので)。


被相続人から相続人が受領している金銭について、
贈与と扱うのか名義財産として扱うのかは
〇資金の原資
〇贈与契約書の有無
〇贈与税の申告
〇資金の管理・運用状況
〇資金運用の果実の帰属
などから総合的に判断することになるが、本件については

資金の原資→夫
贈与契約書→なし
贈与税の申告→なし
資金の管理・運用→妻が行っていたと考えられるが、
         運用資産の決定や注文は夫が証券会社に連絡して行っていた
資金運用の果実→妻が得ていた

という状況で、贈与とも名義財産とも判定できるものと考えられます。

税務署として贈与とも名義財産ともどちらとも指摘しうる状況と思いますので、
相続人にとって有利な方を選択することを考えています。

トータルの税額で考えれば、贈与と扱って時効未到来分の贈与税を納付するより、
名義財産(預り金)と扱って相続財産に加算した方が有利となります。

この場合、妻が夫から受け取って証券口座にて運用している
資金の管理・運用状況がポイントになると思われますが、
上記3.より、事実上夫が売買の指示を証券会社に出していたという点を重視し、
贈与には当たらないと主張したいと考えておりますが、この考え方は成り立つでしょうか。

【参考条文・通達・URL等】

・民法549条

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/640523/01.htm
・名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて 



質問に対する回答部分を閲覧できるのは

税務相互相談会会員限定となっています。

※ご入会日以降に本会へ新規投稿された質問・回答が閲覧できます


税務相互相談会では、月に何度でも

プロフェッショナルに税務実務の質問・相談が可能です。


税務相互相談会にご入会の上

ぜひ、ご質問を投稿してみてください!