[soudan 06741] 火災により損壊したアパートに係る必要経費算入について
2023年2月18日

相互相談会の皆様 

質問
この事例で 建物を取り壊した後に譲渡した場合には、取り壊し費用は譲渡経費になるのでしょうか?取り壊し後に更地にしてから売却をしました




> -----Original Message-----

> Subject: [soudan 06538] 火災により損壊したアパートに係る必要経費算入について
>
> 税務相互相談会の皆さん
>
> 下記について教えて下さい。
>
> 【税  目】
>
> 所得税(山形富夫税理士)
>
> 【対象顧客】
>
> 個人
>
> 【前  提】
>
> ・火災事故によりアパートが一部消失した。
> ・火災保険により保険金を受け取っている。
> ・アパートは取壊し、取壊費用が生じている。
> ・保険金の内訳 損害保険金 約1,300万円、臨時費用 300万円、取片付費用 10万円 合計1,610万円
> ・建物の未償却残高 約540万円
> ・取壊し費用など 約460万円
>
> 【質  問】
>
> 今回の事例において、保険金は全額が非課税。
> 建物の未償却残高 540万円は、受け取った保険金の方が多いので、損失はない。
> 取壊し費用 460万円は、所法51条1項により必要経費に算入される。
> 以上の取り扱いで間違いないでしょうか?
>
> 【参考URL】
>
> (条文等)
> 所得税法9条1項18号
> 所得税法51条1項
> 所得税施行令30条
>
> 【添付資料】
> なし
>
>
>
>2023年2月10日(金) 10:20
>
> ご質問について、次のとおり回答します。
> 参考に願います。
>
> 火災により損壊したアパートに係る必要経費について
>
> 1 質問について
> (1)保険金等の取扱いについては、下記2の損害保険の保険金、損害賠償金に掲げているとおり、前提の
>   限りにおいては、ご質問のとおり、非課税と考えます。
> (2)また、建物の未償却残高540万円について、受け取った保険金の方が多いことから損失はないことに
>   なります。
> (3)取壊し費用460万円については、下記3(4)及び(5)により、所得税法37条の規定により必要経費に
>   算入することになると考えます。
>
> 2 損害保険の保険金、損害賠償金の取扱い
> (1)損害保険契約に基づいて支払いを受ける保険金及び損害賠償金で次に掲げるものは非課税とされてい
>   ます(所法9➀十八、所令30)。
>   イ 損害保険契約に基づく保険金、生命保険契約に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に
>    類する共済に係る契約に基づく給付金で、身体の障害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加え
>    られた損害について支払を受ける慰謝料その他の賠償金
>   ロ 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に準ずる共済契約に基づく共済金(上記イに該当す
>    るものを除きます。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故
>    によって資産に加えられた損害について支払を受ける損害賠償金
>   ハ 心身又は資産に加えられた損害について支払を受ける相当の見舞金
>   ニ イからハまでに掲げるものに準ずるもの
> (2)なお、これらの金額のうちに、次に掲げるものは除かれています。
>   イ 必要経費に算入される金額を補填するために受ける損害賠償金等
>   ロ 満期返戻金又は解約返戻金その他これらに類するもの
>   ハ 不動産所得、事業所得、山林所有又は雑所得の収入金額に代わる性質を有するもの、その他役務の
>    提供の対価としての性質を有するもの
>
> 3 法令等
> (1)所得税法9条1項18号《非課税所得》
> (2)所得税法施行令30条《非課税とされる保険金、損害賠償金等》
> (3)所得税法51条《資産損失の必要経費算入》
> (4)所得税基本通達51-2(損失の金額)
> (5)上記(4)の通達の解説(抜粋)
>    この通達は、法51条1項、3項又は4項の規定により必要経費に算入される損失の範囲を明らかに
>   するとともに、損失の金額の計算基準を明らかにしたものです。
>   イ 法51条の規定は、法37条《必要経費》に規定する「別段の定め」に該当します。
>     この規定により必要経費に算入される金額は、資産そのものに生じた損失に限られ、この「損失の
>    金額」には、損失が生じたことに伴い支出する関連費用(取壊した資産の取壊し費用、除去費用な
>    ど)は含まれないこととされています。
>     この関連費用は、必要経費の基本規定である法37条の規定により必要経費に算入されることにな
>    ります。
>     法51条に規定する「損失の金額」をこのように限定することの実益は次の点にあります。
>    (イ)必要経費に算入される損失の金額は、保険金、損害賠償金等により補填される部分の金額がある
>     場合には、これを控除した後の金額とされるが、関連費用は、保険金、損害賠償金等に関係なく、
>     その全額が必要経費に算入されること。
>    (ロ)法51条4項の規定の適用については、損失の金額は、不動産所得の金額バ又は雑所得の金額を
>     限度として必要経費に算入されるが、関連費用は、所得限度に関係なく、その全額が必要経費に算
>     入されること。
>   ロ 損失の金額は、原価ベース(所令142、143)で計算することとされているが、原価ベースで損失
>    の金額を計算する場合の計算基準には、➀資産が損壊等したという物理的状態に着目して損失の発生
>    を認識し、損失の金額を計算しようする考え方と➁資産の経済的価値に重点を置いて損失の発生を認
>    識し、損失の金額を計算しようとする考え方の2つがあります。
>     この通達では、➁の考え方によっているが、これは主として、次のような理由に基づくものです。
>    (イ)棚卸資産が損壊等をした場合の損失の認識について、令104条《棚卸資産の取得価額の特例》は
>     上記➁の考え方によっていること。
>    (ロ)上記➀・➁ともに、損失の事由が発生した直後の資産につき、時価評価を必要とするが、更に➀
>     の考え方については、損失の事由が発生した直前の時価評価をも必要とし、その評価が困難である
>     こと。
>   〔参考文献〕
>    ・令和3年版所得税基本通達逐条解説 樫田明・今井慶一郎・佐藤誠一郎・木下直人共編
>     一般財団法人大蔵財務協会 P.649~651
> (6)国税庁ホームページ/パンフレット「暮らしの税情報」(令和4年版)/保険と税
> (7)国税庁ホームページ/災害関連情報/東日本大震災関連/災害に関連する主な税務上の取扱いについ
>   て
>
> よろしくお願いいたします。



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