[soudan 05230] 海外芸能人招致に係る税務
2024年8月26日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】


国際税務<法人税/消費税>(内藤昌史税理士)


【対象顧客】


法人


【前  提】


<関係者>

日本子会社「S」

・消費税免税業者

・消費税課税売上割合95%以上

・事業内容:興行業


韓国親会社「P」

・日本子会社「S」の100%親会社

・日本国内のPEなし

・日本での消費税の納税義務なし


韓国人アーティスト

・複数の芸能人、グループが参加している

・個人か法人かは不明


<取引の概要>

・日本子会社「S」は日本国内のイベント会場で複数組の韓国人アーティストが

 出演するライブイベント(所謂、フェス)を開催し、ライブ出演料と斡旋手数料を

 韓国親会社「P」に送金しました。

・イベント出演契約は日本子会社「S」と韓国人アーティストとの間で締結されています。

・韓国親会社「P」は日本子会社「S」と韓国人アーティストとを

 仲介斡旋する立場で参画しています。

・出演料の支払いは日本子会社「S」から韓国親会社「P」を経由して

 韓国人アーティストに支払われています。なお、日本子会社「S」から

 韓国親会社「P」への送金の際には韓国人アーティストに対する出演料と

 韓国親会社「P」に対する仲介斡旋料を合算して送金しています。

 (内訳は支払明細書で区別されています。)


【質  問】


税務の取り扱いは以下の理解であっていますでしょうか。


1.消費税の取り扱い

(1)日本子会社「S」の課税関係

①韓国人アーティストに支払う出演料

結論:簡易課税事業者または課税売上割合が95%以上の一般課税事業者は

リバースチャージ方式による申告納税は必要なく、

また出演料は仕入税額控除の対象とならない。


理由:国外の音楽家その他の芸能人が他の事業者に対して行う

役務の提供であり、音楽家自身が演奏会等を主催してはいないため、

特定役務の提供(特定資産の譲渡等)に該当する(消令2の2、消基通5-8-6)。

国内において事業者が行った「特定仕入れ(事業として他の者から受けた

特定資産の譲渡等)」に該当するため(消法4)、消費税の課税対象

(リバースチャージによる納税)となる。ただし、簡易課税事業者または

課税売上割合が95%以上の一般課税事業者はリバースチャージ方式による

申告納税は必要ない。


②韓国親会社「P」への仲介斡旋料

結論:仕入税額控除の対象とならない。


理由:当該取引は特定役務の提供(特定資産の譲渡等)に該当しない(消基通5-8-7)。

一方で「役務の提供地が明らかでないもの」に該当し、役務提供者の事務所等の

所在地が国外であるため、不課税取引に該当する。


(2)韓国親会社「P」の課税関係

結論:消費税の課税対象ではない。


理由:当該取引は特定役務の提供(特定資産の譲渡等)に該当しない(消基通5-8-7)。

一方で「役務の提供地が明らかでないもの」に該当し、役務提供者の事務所等の

所在地が国外であるため、不課税取引に該当する。



(3)韓国人アーティストの課税関係

結論:消費税の課税対象ではない。


理由:国外の音楽家その他の芸能人が他の事業者に対して行う役務の提供であり、

音楽家自身が演奏会等を主催してはいないため、特定役務の提供(特定資産の

譲渡等)に該当する(消令2の2、消基通5-8-6)。国内において事業者が行った

「特定資産の譲渡等」に該当するため(消法4)、消費税の課税対象外となる。

また、基準期間における課税売上高の算出の基礎にも含めない(消法5①かっこ書き)


2.法人税、所得税の取り扱い

(1)日本子会社「S」の課税関係

①韓国人アーティストへの出演料

結論:出演料等から20.42%の所得税を源泉徴収して、翌月10日までに

所轄税務署に納付する必要がある。


理由:韓国人アーティストが個人の場合、非居住者が自己の役務を主たる

内容とする役務提供に該当し、所得税法161条第12号イに掲げる報酬に

該当するため(所基通161-21)。法人の場合、人的役務の提供事業に

該当するため(法法138①四)。


②韓国親会社「P」への仲介斡旋料

結論:源泉徴収の必要はない。


理由:人的役務の提供事業を行う者が受けるその役務提供の対価などの

源泉徴収が必要な国内所得に該当しないため(法法138、法令179)。


(2)韓国親会社「P」の課税関係

結論:日本での申告、納税義務はない。


理由:恒久的施設を有しない外国法人であり、かつ、日本子会社「S」から

受ける仲介斡旋料は法法138条1項2~6号に掲げる国内源泉所得に該当しないため。

(法法138、141、法令179)。


(3)韓国人アーティストの課税関係

結論:個人の場合、日本での申告義務はない(源泉分離課税)。

ただし、芸能法人である場合は、日本での申告義務がある。


理由:個人の場合は、非居住者が自己の役務を主たる内容とする

役務提供に該当し、所得税法161条第1項第12号イに掲げる報酬に該当する

(所基通161-21後段)。芸能法人の場合は、外国法人が営む人的役務の

提供を主たる内容とする事業に該当し、所得税法161条第1項6号に掲げる

対価に該当する(所基通161-21前段)。


【参考条文・通達・URL等】


質問文中に記載しております。




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