[soudan 05134] 資産性のない貸借対照表項目の処理について
2024年8月19日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】


法人税(鎌塚祟文税理士)


【対象顧客】


法人


【前  提】


・A社はリゾート施設の運営、不動産売買などを行う会社である。

・社長が100%の株式を保有する同族会社である。

・現時点で債務超過の状態にあるが、債務は経営者債務のみである。

・バブル期前より運営をしており、施設会員を募り会員権収入に見合う

 施設利用を提供してきた。

・役務提供の幅を広げるため、自ら様々な施設会員となって、

貸借対照表には出資金や会員権がその他投資資産に計上されている。

・バブル期を挟んでいるため、これらの資産のほとんどは資産性がないと思われる。

・これらの出資時期は不明であり、また現在時点でサービスの存続、

 会社の存在等も不明である。

・このほか共同事業を行うために過去個人に融資した貸付金もあるが、

 現在当人との連絡は取れない。

・一方でこれらの投資及び販売用の不動産については社長が会社に

 貸付を行う形で資金繰りをつけていたものである。

・今期の決算でこれらの貸借対照表に計上されている資産性のない項目を

 整理したいと考えている。

・出資金や会員権にあっては、資産性がないのであれば、

当該会社の破産時期などに損金算入すべきであり、貸付金も同様であると考えられる。

・その点で、今期貸借対照表を整理すると考えた場合、特別損失で

 これらを処理した場合、各項目は損金算入要件を満たさないため、

 課税所得の計算上は申告調整をすることになると考える。

・なお、資産性を失った時期は不明であるが、

 話を聞く限りは更正の請求ができる期間よりも前になっていると認められる。


【質  問】


以上のような状況ですが、貸借対照表を整理するにあたり、

現況の欠損金の状況及び会社の収益力を鑑み、

今期(あるいは更正の請求も含む)損金算入に拘らなくてもよいと考えています。


一方で、役員から会社へは多額の貸付金があり、

現状会社はこれを返済できるような金額ではないと認められます。


このため、投資に関する責任として、これらの投資項目について、

役員に帳簿価額により引き取りをしてもらうのが処理としては整理しやすいと考えました。


具体的には

個人と役員の間で、投資の経営者責任によりこれらの会社の投資財産については、

個人で負担する旨の念書を作成したうえで以下の経理処理を行います。

役員借入金/その他投資(出資金、貸付金)


この場合の、処理に関しての税務上の取り扱いを確認したくよろしくお願いいたします。


個人の見解では、以下の通りになってしまう可能性を考えております。


資産の譲渡においては、時価で譲渡すべきですので、

価値がないのであれば、税務上は以下の通りになる可能性があるのではないかと

考えております。


(税務上の仕訳)

資産譲渡損(※1)/その他投資

役員借入金/債務免除益

ここで、

※1について、以下の①②いずれかによる取り扱いが行われるのではないかと

考えております。

①役員に対する譲渡として、役員給与扱いであれば定期同額給与とはならず、

損金不算入となる。

役員借入金の減少は実質的に債務免除であるから、債務免除益が計上される。

②すでに権利すら失っているのであるから、借方の譲渡損は当然に損金不算入、

役員借入金の減少は実質的に債務免除であるから、債務免除益が計上される。

→いずれかの結果、貸方に発生した債務免除益のみが益金に算入され、

 借入金の減少分だけ今期の所得を構成する。


以上の取り扱いについて、ご見解をいただきたく、よろしくお願いいたします。


【参考条文・通達・URL等】


法人税法 第22条



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