[soudan 03888] 経営移譲した農家:親所有の軽トラを、子が事業使用後に売却した場合の税務
2024年5月27日

税務相互相談会の皆さん


下記について教えて下さい。


【税  目】


所得税(山形富夫税理士),消費税(金井恵美子税理士)


【対象顧客】


個人


【前  提】


◇R2年に経営移譲した農家の関与先です。

 父親が前事業主で、R3年からは息子が事業主となりました。

.

◇父親が事業主時代から農業用に使っていた、父所有の軽トラを、

 息子も農業で使っていましたが、R6年に買い替えに伴い、

 20万円で下取りにだすこととなりました。

.

◇経営移譲年(R3.1.1)の贈与税申告期限までに、『不動産以外の

 農業用財産の贈与を留保する旨の申出書』(資猶34-A-4)は

 提出していない。

 しかし認識としては、「子は父から軽トラを使用貸借しており、

 父の相続時には相続財産として計上する予定」。


【質  問】


(1)この場合、所得税上、課税関係(総合譲渡所得)は生じるのでしょうか?

 生じるとすれば、申告者は父でしょうか?息子でしょうか?

(2)消費税についても同様です。

 課税関係は生じるのでしょうか?


 生じるとすれば、申告者は父でしょうか?息子でしょうか?

 父はR2.12.31付で廃業しており、息子の専従者であり、

 R6年では消費税課税事業ではありません。

 息子はR6年は消費税の課税事業者です。


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 私の考えでは、


①贈与が成立していたとみなされると認識するのであれば、

 贈与税の申告の要否は別途検討すべきだが、

 譲渡所得税の課税所得として、また消費税の課税売上として、

 共に息子(現事業主)での申告対象となる。


②贈与が成立していない(=使用貸借中)と認識するのであれば、

 譲渡所得税の課税所得者は父であるが、他に総合譲渡所得は無く、

 50万円以下なので、給与所得の年末調整のみで確定申告は不要。

 消費税も免税事業者なので、申告不要。


と考えました。

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とりあえずは、無難に考えるのであれば、①で処理しようと考えております。


【参考条文・通達・URL等】


【2016.6.15 No.319 畜産会経営情報】

 森剛一 税理士の記事を抜粋。


<親の資産を無償で使用する方法>

 生前に農地の使用貸借により経営移譲を受けた場合、

農地以外の農業用固定資産についても、父など旧経営者の

所有のままで息子が使用することがあります。


 このように、生計を一にする親族名義の不動産を無償で

事業の用に供している場合には、親族名義の資産の固定資産税や

減価償却費、除却損などを必要経費にすることができます(所基通56-1)。


 従って、相続・贈与の場合と同様、貸借対照表にも

これら親族名義の不動産をその取得価額や耐用年数、

未償却残高をそのまま引き継いで計上します。

 ただし、償却方法については、相続・贈与の場合と異なり、

経営継承の日を取得日とするのでなく、親の取得日によって決まる

償却方法をそのまま引き継ぐことになります。


 不動産については、登記名義を変更した場合などのように、

特に贈与したと認められるものを除いては、贈与はなかった

ものとされます(昭35直資15)。

 不動産とは、建物、建物付属設備、構築物などで、園芸用ハウスや畜舎、

堆肥盤なども含まれます。


 ところが、不動産以外の農業用財産については原則として、

贈与があったものとして取り扱われます。

 ただし、搾乳牛などの牛馬や農機具については、旧経営者を

被相続人とする相続財産価額にその財産の価額を算入することを了承し、

書面で贈与を留保する旨の申し出をすることにより、

贈与がなかったものとして取り扱われます(昭35直資15)。


 この場合、『不動産以外の農業用財産の贈与を留保する旨の

申出書』(資猶34-A-4)という様式がありますので、

この申出書を贈与税の申告期間中(翌年3月15日まで)に提出することにより、

贈与がなかったものとして取り扱われます

(昭47直資2-32、昭53直資2-2)。


 なお、上記の手続きをしなかった不動産以外の農業用固定資産、それに棚卸資産については、

経営移譲の際に原則として贈与税が課せられることになります

(贈与税の基礎控除は110万円です)



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