[soudan 02939] 被相続人の生前において取得した配偶者が取得した高級時計について
2024年3月28日

税務相互相談会の皆様


相続により配偶者(奥さん)が被相続人(夫)の

預金により取得していた高級時計についての

相続時の考え方について質問をさせて頂きます。


(税目)

相続、贈与税(木下勇人先生)


(対象者)

個人


(前提)

○ 令和5年10月に被相続人甲に相続が開始され、相続財産の確認をしています。

○ 被相続人甲の配偶者乙は、甲の生前に甲の承諾を得て外商により

  百貨店にて高級時計やバックなどを6点購入していました。

○ 1点、300万から800万円ほどの時計となっていて、総額4000万円

  ほどの購入金額となっています。

○ 現在、検討をしていますのが、購入時点において被相続人甲から乙への

  贈与と考える方法と、被相続人の相続財産であるという考えがあると思っていま

す。

○ 贈与と考えると、購入年の翌年3月15日から除斥期間である6年を

  経過している購入が2点あり、残りの4点は6年を経過していないので

  贈与税申告が必要となり、3年内の加算となる贈与もあります。


○ 被相続人甲の相続財産と考えると、全てを買取ショップなどにて

  買取査定を算定して貰い、相続財産に計上することになると考えています。


○ 贈与と考えた場合は、2点は時効となり、2点は贈与税の申告で完了(3年内加算

なし)し、

  残り2点は3年内加算となりますが、まだ買取査定の金額を算出していないため、

贈与として

  考えるのか、被相続人甲の財産として考えた方が最終的な税負担について、どち

らが

  低いのかを検証していません。


(質問)

○ 税務署は、おそらくですが贈与と評価して贈与税+相続税の税額

  若しくは全て相続財産に含めて、相続税だけによる税負担について、いずれか高

くなる方

  を主張してくるかと考えています。


  もし、時計などの購入時期から考えて、全て贈与税の除斥期間を経過していた場

合は、

  贈与ではなく、被相続人甲の財産であるとして相続財産に含めろという主張をし

てくると思いますし、

  反対に除斥期間が経過しておらず、贈与と評価した方が贈与税の金額が高くなっ

て、相続財産に含めるより

  納税額が高くなる場合は、贈与であると指摘してくると考えています。


○ 私は、贈与契約書の作成はありませんが、配偶者乙において勝手に購入をしたわ

けではなく、

  甲の承諾のもと購入しており(今となっては100%の説明はできませんが、生前

の関係性や

  預貯金の使い方などから承諾があったという蓋然性は高いと考えます)、所有、

管理しているのは

  乙であるため(女性物のため甲が使用したり、興味を示している状況にはな

い)、実質的には、

  どちらの方が税負担が高くなるかという問題ではなく、贈与と評価される事が適

当と考えていますが、

  木下先生のお考えを頂ければ幸いです。


以下、税務調査のメーラーにおいて、過去被相続人の妻が買い物依存症にて多額の

ショッピングをしていた

事について、消費寄託だとして次の裁決事例を持ち出して、購入時の価格で全て預け

金として相続財産に

計上しなさいと指摘されたという、他の税理士さんの事例がありましたが、この争い

はあくまでも、

被相続人に内緒で・勝手に現金を引き出しており、かつ相続人も相続財産となること

認識していた、という前提になっていて、


被相続人からすると金銭を勝手に引き出されたという意味で、

「不当利得又は消費寄託に基づく返還請求権」があったと認定されているため、


本事案においては上記のように、被相続人の知らない・承諾ないところで、

妻がクレジットカード等で個人的な費消をしたということではないため、

本事案における否認の根拠にはなり得ないと回答がありましたが、

参考事例としてお伝え出来ればと思います。


私の見解としては、ご質問をさせて頂いた事案については、

贈与があったと評価されると考えています。


宜しくお願い致します。


(参考)

(TAINSコード Z888-2189)


東京地方裁判所平成28年(行ウ)第240号相続税の更正処分等取消請求事件(却

下、 棄却)(控訴) 国側当事者・国(荻窪税務署長) 平成30年1月19日判決

【情報公開法第9条第1項による開示情報】 【預貯金等の帰属/重加算税の「隠

蔽」の存否/相続開始前に引き出された現金等】

概要

 判  示  事  項

1 本件は、被相続人A(平成24年死亡)の相続人(子)である原告が、Aについ

て開

始した相続に係る相続税の申告をしたところ、荻窪税務署長が、相続開始前に原告が

名義の預貯金口座から引き出した現金のうち原告が原告名義の預金口座に入金した金

相当額のAの原告に対する不当利得又は消費寄託に基づく返還請求権(本件返還請求

)及び上記現金のうち相続開始時点で保管されていた現金(本件現金)はAの相続財

であるなどとして、更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を

たことから、原告が、相続開始時点で存在していたA名義の預貯金及び有価証券(本

預貯金等)は、いずれも原告の父であり、Aの配偶者である亡B(平成19年死亡)

未分割の相続財産であるから、本件預貯金等、本件現金及び本件返還請求権がいずれ

Aの財産であるとしてされた更正処分及び各賦課決定処分は違法であり、また、原告

行為は国税通則法68条1項所定の「隠蔽」行為に当たらないから重加算税賦課決定

分はこの点でも違法であるとして、更正処分等の取消しを求める事案である。

2 認定事実によれば、①本件各預貯金口座はいずれもA名義である上、②本件通常

貯金

口座及び本件3普通預金口座には、一次相続によりAが取得した財産のほか、A固有

財産である同人の恩給や年金が入金され、③本件各預貯金口座には、一次相続以降、

名義の国債の償還、小切手の発行等に係る入金又は出金があり、また、これらの口座

預貯金の利息は当該口座に入金され、④Aは、入退院を繰り返すようになるまで、A

義の本件各預貯金口座の通帳及びキャッシュカードを自ら管理し、かつ、その保管場

はB名義の通帳とは区分されていたのであるから、これらの事実を総合すれば、相続

開始時点における本件各預貯金口座の預金者ないし貯金者は、Aであると認めるのが

当であり、これらの口座に係る預貯金はAに帰属すると認められる。

3 認定事実によれば、Aは、相続開始時点で、原告に対し、原告がこれらの口座か

ら出

金して原告名義の預金口座に入金した1070万円の不当利得に基づく返還請求権

(本

件返還請求権)を有していたことが認められ、また、原告がこれらの口座から出金し

自宅の金庫内で保管していた3810万円の現金(本件現金)はAに帰属していたと

められる。したがって、本件現金3810万円及び本件返還請求権1070万円は、

ずれもAの相続財産であると認められる。

4 原告は、Aを被相続人とする相続税の申告に当たっては本件通常貯金口座及び本

件3

普通預金口座に係る預貯金をAの相続財産として申告をする必要があることを認識し

がら、Aの相続が開始するまでにこれらの口座から現金を引き出し、Aの預貯金残高

減少させて相続税の申告をすることにより、原告が納付義務を負う相続税の額を少な

しようと考え、相続開始前に、これらの口座から預貯金残高の大半を占め、かつ、A

医療費等の支払に要する額を大幅に上回る計5180万円の現金を引き出し、うち1

70万円を原告名義の預金口座に入金し、うち3810万円を現金のまま自宅の金庫

で保管して、外形的に本件現金及び本件返還請求権がAに帰属する財産であることが

明しにくい状態を作出したのであるから、これらの一連の行為は、故意に課税標準等

は税額等の計算の基礎となる事実の一部を隠す行為であるというべきであり、した

がっ

て、国税通則法68条1項所定の「隠蔽」に該当する行為であると認められる。そし

、原告は、上記の状態を利用して、本件現金及び本件返還請求権をAの相続財産とし

記載せずに本件申告書を提出したのであるから、上記の「隠蔽」をしたところに基づ

本件申告書を提出したと認められる。

5 したがって、重加算税賦課決定処分に、国税通則法68条1項が規定する重加算

税の

賦課要件を欠く違法はないということができる。

判決年月日 H30-01-19 (H30-07-11)

国税庁訴資 Z888-2189 (Z888-2223)



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