[soudan 02725] 親子間の金銭消費貸借契約について
2024年3月12日

税務相互相談会の皆さん

下記について教えて下さい。


【税  目】


所得税(山形富夫税理士),相続税・贈与含む(木下勇人税理士)


【対象顧客】


個人


【前  提】

・個人事業主が、昨年6月に親族関係のない第三者から譲り受けた営業対価の残額の返済に充てるため、今年の1月に母親から700万円の借入を行っています。
・当該借入金は、個人事業主の事業用口座に入金がありました。
・当該借入金は、近日中に売主に全額支払われる予定です。
・当該借入金に係る金銭消費貸借契約書は、現在作成中との連絡を受けています。
・現在個人事業主には、上記以外に事業に関する借入金はありません(リース、割賦払いを除く)。
・個人事業主とその母親の生計は別です。

【質  問】

① 定期返済を預金口座間で行うことを前提として、仮に無利息貸付けであった場合、原則的には利息相当額がみなし贈与(相法9条)となると思いますが、
事業用の借入金が他にない場合(平均調達金利を計算できない場合)、利息相当額の算定上、どの利率が用いられるのでしょうか?
下記裁決事例では、民法404条の法定利率(現在は年3%)が用いられていますが、
役員への無償貸し付け等で用いられる利子税特例基準割合(R6年度は年0.9%)と比べると3倍以上違います。
利子税特例基準割合が用いられることはあるのでしょうか?

② 相基通9-10但し書きにある『その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合』については、
金額基準はないと思いますが、課税実務上、凡そどの程度の借入金(元本)であれば、利息の支払いが必要と考えられているのでしょうか?
下記裁決事例は年間の利息相当額が約870万~1600万と相当多額であるため、元本に割り戻す(年間利息/0.05)と約1.7億円~3.2億円となります。
これらと比べると上記「前提」の借入金は少額に思えますが、利息を支払わなくても、課税実務上は、特に問題ないでしょうか?

③ 利息を支払う必要がある場合、利率は、短期プライムレート(現在年1.475%:最頻値)以下でも問題ないのでしょうか?
私見ですが、民法404条の法定利率(年利3%)は高すぎ、利子税特例基準割合(年利0.9%)位が妥当な気がしております。
先生のご経験、ご見解をお聞かせいただけますと幸いです。

④ また、利息を支払う必要がある場合、営業譲渡の対価の返済に係る借入金の利息であること、
母親とは生計は別であること(所得税法56条の適用なし)から、当該利息を必要経費として算入しても問題ないでしょうか?

【参考条文・通達・URL等】

相続税法9条
相続税法基本通達9-10(無利子の金銭貸与等)
所基通36-28(課税しない経済的利益 金銭の無利息貸付け等)
所得税基本通達 36-49 (利息相当額の評価)
措置法93条第2項
令和5年財務省告示第289号(令和6年度の平均貸付割合0.4%)※
※これにより、令和6年分の利子税特例基準割合は0.9%(0.4%+0.5%)
短期プライムレート: https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm
法務省HP「R5.4.1以降の法定利率について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00317.html
国税庁『No.2606 金銭を貸し付けたとき』
平成元年6月16日裁決(TAINSコード J37-4-03)
『上記通達は、本来、夫と妻、親と子、祖父母と孫等特別の
関係がある者相互間で無償又は無利子で金銭の貸付けがあつた
場合に、相続税法第9条に規定する「利益の享受」に該当する
ものとして取り扱う旨の原則を明らかにした上で、例外的に、
その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がない
場合には強いて課税しなくても差し支えない旨の取扱いをする
こととしたものである。本件金銭貸借は、A自動車学校経営の
運営資金として請求人の事業活動に活用されたもので、その
借入金額は多額であり、かつ、借入期間も長期間にわたつており、
原処分庁が、本件金銭貸借に伴う利息相当額の経済的利益の額を
贈与により取得したものと認定したことは相当であり、請求人の
主張は採用できない。また、課税上弊害がある場合とは、単に、
請求人の主張する租税回避を意図したり、借入金を本来の借入
目的以外に流用したりするような場合にのみ限定されるもの
ではなく、その行為を容認して課税を行わないとした場合には、
課税の公平が維持できないというようなものが該当するもので
あり、請求人が主張するように限定的にとらえるべきではなく
請求人の主張は採用できない。』
『本件金銭貸借については利息について取決めがないため、
原処分庁が、経済的利益の額を算定するに当たり、年利率を
民法第404条の規定に基づき法定利率の5パーセントとした
ことについては、これを不相当とする理由はない。』

所得税法37条(必要経費)



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