[soudan 02263] 青色申告特別控除(65万円控除)について
2024年2月19日

【税  目】

所得税(山形富夫税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

・飲食業を営む個人事業主
・売り上げはすべて現金取引のみで、レジから出金した金額について、記録をとっていますが、
 すべての記録はとられていません。記録した分については、POSレジを利用していることから、
 「日計レポート」として現金売上高合計額と共にその「出金合計額」を出力することが可能です。
・ポケットマネーで支払われたものについては、領収書・請求書といった証憑書類はあるものの、その分の記帳は、
 事業主側でされていません(支払先ごとに毎日いくら支払われたかの記帳はされていますが、
 いわゆる現金出納帳の形では記録はとられていません)。この場合、B/S作成上は、相手勘定は、
 事業主勘定(事業主貸・借を一括して事業主勘定でまとめています)で処理しています。
・レジ現金は、毎日開店前に65000円を用意していることから、毎日の現金売上と現金払いの仕入・経費を差し引いた残額から
 レジ現金残高(=事業上の現金残高)65000円を差し引いた残額を、事業主勘定へ振り替えています
 (必ず現金残高として65000円残るように処理しています)。
・事業主はレジ現金残高を毎日確認しているようですが、現金過不足が出てはいけないと勘違されていたようで、
 合わない分は自身で現金を補填されていたようです。
・上記現金以外の記帳は、すべて複式簿記により、会計ソフトにて記帳を行っております
 (こちらは問題ないものと認識しております)。


【質  問】

上記前提の場合、B/Sまで作成し、申告期限内に電子申告を行えば、青色申告特別控除として65万円控除は可能でしょうか?

入金はPOSレジを利用していることから、自動で記録されるものの、出金はその記録を忘れると、
(当然ですが)その分は記帳されません。

本来はすべてのレジ現金に関する入出金記録をとるべきと思いますが、事業主は忙しく、
また、事業主しかレジを触っていないため、その記録を取れる人がいないようです。

個人的には、65万円控除が適用できるかは微妙なところのように思いますが(10万円控除とした方が安全)、
実務上は、現実的な処理として、65万控除を適用しても許される範囲なのでしょうか。

先生のご経験・ご見解をお聞かせいただけますと幸いです。


【参考条文・通達・URL等】
国税庁タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除
(事業用と生活用を区分していなければ65万円控除は否認されるのか?)2018.8.28

https://kachiel.jp/blog/%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e7%94%a8%e3%81%a8%e7%94%9f%e6%b4%bb%e7%94%a8%e3%82%92%e5%8c%ba%e5%88%86%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%84%e3%81%aa%e3%81%91%e3%82%8c%e3%81%b0%ef%bc%96%ef%bc%95%e4%b8%87%e5%86%86%e6%8e%a7/

『会計ソフトで作成した現金元帳が存在し、現金の増減を正しく示しているのであれば、
 65万控除の要件を満たす帳簿として足るものが備え付けられていると考えて何ら問題ないはずです。』

(65万円控除の要件「正規の簿記」とは何か?)2018.9.4
https://kachiel.jp/blog/%ef%bc%96%ef%bc%95%e4%b8%87%e5%86%86%e6%8e%a7%e9%99%a4%e3%81%ae%e8%a6%81%e4%bb%b6%e3%80%8c%e6%ad%a3%e8%a6%8f%e3%81%ae%e7%b0%bf%e8%a8%98%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%8b%ef%bc%9f/

『裁決や判決を調べてみると、65万円控除を10万円に否認された事例は非常に少ないことから、(金額も大きくないことから)
 税務調査では先週のメルマガのように適正に反論すればほぼ勝てる、とは言えそうです。だ、実例を調べてみると、
 下記があります。平成17年6月22日判決(Z255−10060)
 「青色申告承認取消処分に係る裁量権の範囲の逸脱・濫用の有無」この事案では、歯科医(個人事業主で税理士アリ)が
  帳簿書類として、(1)日計表 (2)金銭出納帳(3)総勘定元帳 (4)決算仕訳リスト
  (5)合計残高試算表を提示し、65万円控除が調査で否認されています。

  詳細な引用は長くなるので避けますが、(1)日計表・収入金額に漏れがある・一致しない日がある
  (2)金銭出納帳支払のみの記載で収入と差額の記載は一切なし(3)総勘定元帳・すべての仕訳が各月末日付け・
  残高がマイナスの項目がある(4)決算仕訳リスト 元帳にはない収入項目がある
  (5)合計残高試算表残高が無理やり10万円合されている』

(65万円控除の否認指摘を受けたら)2020.4.17

https://kachiel.jp/blog/%EF%BC%96%EF%BC%95%E4%B8%87%E5%86%86%E6%8E%A7%E9%99%A4%E3%81%AE%E5%90%A6%E8%AA%8D%E6%8C%87%E6%91%98%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%9F%E3%82%89/

『結局のところ65万円控除を取れるかどうかは「複式簿記において、入出金や計上額を検証することができる」だと考えます。
 そうなのだとすれば、現金出納帳がなくても、会計ソフトで作成した現金元帳が存在し、現金の増減を正しく示しているので
 あれば65万控除の要件を満たす帳簿として足るものが備え付けられていると考えて何ら問題ないはずです。』 



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