[soudan 02017] 外国税額控除の要件と租税条約
2024年2月07日

税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

国際税務

【対象顧客】

法人

【前  提】

1.メキシコ、中国、マレーシアに売上のある法人になります。
2.製品を販売した後、後日、販売した製品について国外現地にて、据え付けや調整、工場のラインの変更に伴う
  設置移管対応などを行う対価として売上が発生する場合があります。
3.このような事後売上(SV売上という)は技術派遣ないしは役務提供と位置付けられると想定しています。
4.この売上について、中国では7.5%、マレーシアでは10%、メキシコでは25%が、
  受取代金から源泉徴収されています。
5.メキシコのみ、売上相手先により源泉されない場合があります。
6.この法人は他にも配当や利子で源泉徴収されるものがあります。

【質  問】

現在、税務調査でこの源泉のうち、SVにかかる源泉については外税控除ができず損金経理ではないかと指摘を受けています。
その根拠は、日本と相手国との間の租税条約に載っていない可能性が高いためといわれています。
ただし、税務署側も明確に否定しておらず現状、問題提起で終わっています。

1.
租税条約は、本来徴収される税率を低くすることや、二重課税の排除のためにあると認識していますが、
租税条約に記載がない項目で、相手国の国内法で源泉されたと想定されるものは、
日本で外税控除ができないといった明確な規定があるのでしょうか。

私見ですが、

法69条1項では

内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。
以下この項及び第12項において同じ。)を納付することとなる場合には、当該事業年度の所得の金額につき第66条第1項から
第3項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の
国外所得金額(国外源泉所得に係る所得のみについて各事業年度の所得に対する法人税を課するものとした場合に
課税標準となるべき当該事業年度の所得の金額に相当するものとして政令で定める金額をいう。第14項において同じ。)に
対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、
その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める外国法人税の額、内国法人の通常行われる取引と
認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国法人税の額、内国法人の法人税に
関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により
課されるものとして政令で定める外国法人税の額その他政令で定める外国法人税の額を除く。
以下この条において「控除対象外国法人税の額」という。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。


とあり、一部、その他政令で定める外国法人税の額は対象外のようですが、
政令として以下にあるように施行令141条3項のどれにも該当しないように読めます。

また、SV売上は所得ではなく売上に直接かかっていますが、やはり下記の141条2項のように、
収入を課税標準にするものも該当しそうに思われます。


施行令141条
法第69条第1項(外国税額の控除)に規定する外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものは、
外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税
(以下この款において「外国法人税」という。)とする。
2 外国又はその地方公共団体により課される次に掲げる税は、外国法人税に含まれるものとする。
一 超過利潤税その他法人の所得の特定の部分を課税標準として課される税
二 法人の所得又はその特定の部分を課税標準として課される税の附加税
三 法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、法人の特定の所得につき、
  徴税上の便宜のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの
四 法人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、法人の収入金額その他これに準ずるものを
  課税標準として課される税
3 外国又はその地方公共団体により課される次に掲げる税は、外国法人税に含まれないものとする。
一 税を納付する者が、当該税の納付後、任意にその金額の全部又は一部の還付を請求することができる税
二 税の納付が猶予される期間を、その税の納付をすることとなる者が任意に定めることができる税
三 複数の税率の中から税の納付をすることとなる者と外国若しくはその地方公共団体又はこれらの者により税率の
  合意をする権限を付与された者との合意により税率が決定された税(当該複数の税率のうち最も低い税率
  (当該最も低い税率が当該合意がないものとした場合に適用されるべき税率を上回る場合には当該適用されるべき税率)を
   上回る部分に限る。)
四 外国法人税に附帯して課される附帯税に相当する税その他これに類する税


少なくとも現地で徴収されている以上、租税条約にないからという理由をもって
外税控除ができない(損金経理しか認めない)というのは根拠がないのではと思っています。

2.
もし税務署のいうとおりである場合、相手の国内法で源泉されているものを、現地にPEなどがないこと等を理由に
還付請求するのが正式な手続きなのでしょうか。
それとも日本では損金経理する以外、方法がないのでしょうか。

3.
もしも損金経理以外方法がない場合、他に配当や利子で租税条約に記載のある源泉もあり
こちらは外税控除を採用し続けたいのですが、同一年度で、損金経理と外税控除の併用はできないと思われ、
この場合、配当などの源泉も含め全部を損金経理するのか、上記のSV源泉分は泣き寝入りするのか
どうするのが実務上多い(正しい)のでしょうか。

4.
泣き寝入りした場合、売掛金がどんどん消せずに残ってしまいますが、貸倒などで落とせるのでしょうか。

【参考条文・通達・URL等】

https://www.ey.com/ja_jp/corporate-accounting/commentary/tax-effect/commentary-tax-effect-2019-09-06-02



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