[soudan 01908] 土地区画整理事業施行地内の造成工事が始まったとされる時期について
2024年2月01日

税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

相続税・贈与含む(木下勇人税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

土地区画整理事業施行地内の土地で路線価が付されておらず
個別評価地域となっている地域で、仮換地指定されている土地
(307番地添付資料参照)を令和3年12月に贈与した。

当該土地区画整理事業はかなり広大で、当初の都市計画は以下の計画となっている。

都市計画決定 平成8年4月
事業計画決定 平成9年1月
仮換地指定日 平成20年8月
施行期間   平成8年度から
総事業費   約285億円
施行面積   60.4ha

当該土地区画整理事業は86街区あり、予算の兼ね合いもあり、
このような規模の大きな土地区画整理事業では当然のように
当初事業計画より遅れ遅れとなっている。

土地区画整理事業では街区を設定し、街区ごとに工事の進捗を
進めていくのが一般的であるが、仮換地指定地の街区どころか、
その周辺街区も含めて全く造成工事はされておらず、
前面道路もできていない状況であり、従前地・仮換地指定地いずれも
以前と変わらず山のような原野の状態である。

令和5年、3月現在の面積による区画整理事業の進捗は18%で、
当該仮換地指定地の街区の工事は、現在のところ全く見通しはたっておらず、
土地区画整理事業の工事は順序よく進めていくのでおそらく事業全体では
今後20年はかかると役所は言っている。
当該贈与土地・仮換地指定地の街区の外側の整備からなので、
従前地・仮換地指定地のいずれの土地の工事着手の見通しは全く見えないが、
10年ぐらいはかかるということです。

現在(令和5年12月)仮換地指定の土地については、
別途使用収益日を定めることとされ、現在は仮換地指定地は使用収益はできず、
従前地で使用収益してもらっている状態であることを役所で確認している。
当該贈与した従前地は原野の無道路地で建物が建てられる状態ではなく、
固定資産税もかからない評価額であり、利用は全くできない状況の原野で、
仮換地前となんら変わらない状態となっている。
仮換地指定土地の状況も同様に全く道路整備や造成工事をしていることはなく、
原野の状態である。

現在仮換地の造成工事が始まっているか始まっていないかが問題となっている。
土地区画整理事業の全体が約35年以上かかる大規模な土地区画整理事業において、
その一部でも、ほんの少しでも工事を着手した時点で、
当該土地区画整理事業内の土地全体が仮換地の造成工事が始まっていると認識になるのか?

「財産評価基本通達逐条解説」において、
財基通24-2の通達の従前の宅地の価額により評価する趣旨について

①仮換地が指定されても、従前の宅地をそのまま使用していること、
②道路状況が仮換地指定の前後で変更がなく、従前の道路に路線価を付すことにより、
 従前の宅地の価額を評価することが可能であること、
③仮換地に指定された土地の現況に応じて、清算金の額、
 換地処分までの期間等の諸事情を総合勘案して仮換地の価額に
 相当する価額を算定することが困難であること

から、あえて仮換地の価額に相当する価額で評価する必要はなく、
従前の道路に基づいて路線価等を評定し、これに基づき従前の宅地の価額を
評価することが相当であるからと解説されています。

【質  問】

土地区画整理事業の施行地内にある土地を贈与した。
当該土地が仮換地されている場合に、財基通24-2の造成工事が
始まっているかいないかは、どの段階で判断するのか?

広大な長期的な区画整理事業の一部でも仮換地の工事が始まったら、
造成工事が始まったと認識するのか?

【参考条文・通達・URL等】

●財産評価基本通達24-2
ただし、その仮換地の造成工事が施工中で、当該工事が完了するまでの
期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額に相当する価額は、
その仮換地について造成工事が完了したものとして、
本文の定めにより評価した価額の100分の95に相当する金額によって評価する。
(注) 仮換地が指定されている場合であっても、
次の事項のいずれにも該当するときには、従前の宅地の価額により評価する。
1 土地区画整理法第99条《仮換地の指定の効果》第2項の規定により、
 仮換地について使用又は収益を開始する日を別に定めるとされているため、
 当該仮換地について使用又は収益を開始することができないこと。
2 仮換地の造成工事が行われていないこと。

◆参考文献
●財産評価基本通達逐条解説
 一般財団法人 大 蔵財務協会理事長 発行者 木 村 幸俊

P184では、

3 土地区画整理事業の施行地区内にある宅 地について、仮換地が指定されて
も、使 用開始の日が 定められず、造成工事等の着工時期 も未 定のまま、事 実
上、従前の宅地を使用している場合が見受けられ る。
この ような地域の土地については、
① 仮換地が指定 され ても、従 前の宅地をそのまま使 用していること
② 道路状況が仮換地指.定の前後で変更がなく、従 前の道路に路線価を付す
ことに より、従 前の宅地の価額 を評価することが 可能であること
③ 仮換地に指定され た土地の現況に応 じて、清 算金の額、換地処分までの
期間等の諸事情を総合勘案 して仮換地の価額に相当す る価額を算定するこ
とが 困難であること
から、 あえて仮換地の価額に相当する価 額で評価する必要はなく、従 前の道
路に基づいて路線価等を評定 し、 これ に基づ き従 前の宅地の価額を評価する
ことが 相当であると考 えられ る。
そこで、本項の注書は、仮換地が指定され ている場合であって も、使 用収
益開始の日を別に定めるとされ ていることに より、 当該仮換地について使用
又は収益を開始することが できず 、かつ、仮 換地の造成工事が行われていな
い場合には、従 前の宅地の価額により評 価することを明 らか にしている。
なお、仮換地の指定後においても、造 成工事が未着工で従前の宅地を利用
している場合には、利 用上の制約について考慮する必要はない もの と考 えら
れることか ら、 本項ただ し書 の95%評価の取扱いはできない もの となる。

とあります。

●税理士のための相続税評価Q&A 土地等の評価
 著者樋沢武司 発行所(株)中央経済社

 P113では

( 3 ) 仮換地の指定はされているものの使用収益開始決定および造成工事もされていない
場合通常は仮換地指定と使用収益開始決定は同時ですが、区画整理事業によってはまず仮換地を指定し、その後、造成工事が進捗した後、別に使用収益開始決定をすることがあります。
近年の土地区画整理事業では事業期間が長期化する傾向が強く、やむを得ず2段階になっている側面があるようです。このような場合、仮換地が指定されても、その仮換地を使用できるわけではないため、土地評価では従前地を評価することになります。

とされています。

【添付資料】

https://kachiel.jp/sharefile/sougosoudan/240201.jpg



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