税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
公益法人(浦田泉税理士)
【対象顧客】
法人
【前 提】
株式会社A社の取締役が理事の一員となってNPO法人B社を設立しました。
B社は、今後障碍者や高齢者の方を雇用して
A社の経理事務などを請け負う業務を行うことを検討しています。
請負業は、収益事業の34業種のうち十に該当し収益事業となると考えます。
一方、障碍者や65歳以上の高齢の方を雇用し業務に従事させるなど
下記の条件(法人税法施行令第5条2項2号)を満たせば、
収益事業に含まれないと認識しています。
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2 次に掲げる事業は、前項に規定する事業に含まれないものとする。
二 公益法人等が行う前項各号に掲げる事業のうち、その事業に従事する次に掲げる者がその
事業に従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与して
いるもの
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【質 問】
上記を踏まえて、下記4点お尋ねします。
①公益法人等への該当の可否
NPO法人B社は、特定非営利活動促進法第70条の規定により
法人税法上の公益法人等に該当する(みなされる)と考えますがいかがでしょうか?
②公益性
NPO法人B社は、当面A社の業務のみを請け負う予定ですが、
B社が、関係性の深いA社の業務のみを行うことで、公益性について何らかの疑義
(公益法人等がもつ「公益性」に反するためそもそも公益法人等に該当しない、など)
が発生するといったことにはならないでしょうか?
③延人員の考え方
公益法人等が行う収益事業のうち、令第5条2項2号に記載の
「その事業に従事する次に掲げる者がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め」
という要件について法基通15-1-8「身体障害者等従事割合の判定」には
下記のように記載があります。
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当該事業に従事する身体障害者等(同号イからヘまでに掲げる者をいう。以下15-1-8において
同じ。)の数が当該事業に従事する者の総数の半数以上を占めるかどうかは、
当該事業年度において当該事業に従事した者の延人員により判定するものとする
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この場合の「延人員」の判定方法ですが、
事前に国税局電話相談センターに尋ねたところ、以下のような回答がありました。
回答にあるように、日ごとにカウントした結果を積み上げ、
年間通じて判定を行う方法で問題ないでしょうか?
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「当該事業年度において」とあることから、たとえば人数を数えるために特定の期間
(1ヶ月ごとなど)で区切るといったようなことはせず、日ごとに従事した人数を
カウントして1年間積算していくような方法が条文の書きぶりからは正しいように感じられる。
また、短時間勤務者については、通常の勤務時間に引き直さずに判定できると
書かれていることから、各人の勤務時間数は考慮せず、その日の頭数をもって半数以上を
占めるかどうかを判定するのが合理的だと考えられる。
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④生活の保護に寄与
公益法人等が行う収益事業のうち、令第5条2項2号に記載の
「その事業がこれらの者の生活の保護に寄与している」という要件について
通達等には具体例の記載がありませんが、国税不服審判所の裁決事例(令和2年3月5日裁決)
の要旨には、下記のように示されています。
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「生活の保護に寄与しているもの」か否かについては、事業に係る剰余金等の
処分可能な金額の相当部分を特定従事者に給与等として支給しているかどうかにより
判定することになるが、剰余金等の処分可能な金額は、本件事業に係る利益の額
(税引前当期正味財産増減額)に特定従事者への給与等支給額を含む人件費支給総額を
加算した金額とすることが相当である。
そして、これにより「剰余金等の処分可能な金額」に占める
「特定従事者への給与等支給額」の割合を計算すると過半にも満たないから、
本件事業は「生活の保護に寄与しているもの」に該当しない。
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「剰余金等の処分可能な金額」をどのように考えるかですが、たとえば本事業が
売上高 10,000千円
人件費 △7,000千円(うち特定従事者への支給額5,000千円)
その他経費 △1,000千円
差引利益 2,000千円
であった場合、2,000+7,000=9,000千円を「処分可能な金額」とすることが相当であり、
この9,000千円に占める特定従事者への給与額(5,000千円)の割合は50%超であることから、
要件(生活の保護に寄与)を満たす、というように考えればよいでしょうか?
よろしくお願いいたします。
【参考条文・通達・URL等】
法人税法施行令第5条第1項、第2項第2号
法人税基本通達15-1-8
特定非営利活動促進法第70条
国税不服審判所裁決事例集No.118 令和2年3月5日裁決
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