[soudan 22072] 老人ホーム入居中の被相続人に係る小規模宅地等の特例(居住用・貸付用の併用)と評価単位について
2026年10月16日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

相続・贈与税<株式評価以外の財産評価>(井上幹康税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

①令和8年5月に被相続人甲(男性)が死亡。
相続人は長女と次女の2名。
配偶者(妻)は既に死亡している。


②被相続人は次女家族(次女、次女の夫、孫2名)と同居していた。
長女とは別居・生計別。


③甲名義の土地の上に、次女の夫99/100、
次女1/100の持分割合による建物が建っており、
その建物に被相続人と次女家族が同居していた。
なお、地代や家賃の授受はなく、土地・建物ともに使用貸借であった。


④特殊事情として、建物のうち1階の一部が
小規模な貸テナントとして第三者に賃貸されている。
賃貸借契約は次女の夫を貸主として第三者と締結されており、
現在も継続して貸し付けている。
賃貸借契約書の履歴により、少なくとも
令和元年10月1日から貸し付けていることが確認できている。


→被相続人と生計を一にする親族が所有する建物の敷地であり、
土地の貸借は無償、かつ第三者への建物の貸付けは
有償であることから、貸付事業用宅地等の適用が
あるのかについて検討中(ただし、土地の
取得者との関係については質問(3)参照)。


⑤建物は平成29年に新築され、以後、
被相続人と次女家族がずっと同居していた。
その後、令和5年に被相続人が要介護認定を受け、
令和5年9月からサービス付き高齢者向け住宅に入居し、令和8年2月に入院。
さらに令和8年4月に有料老人ホームに移ったものの、翌月に相続が開始した。
入居した各施設は、小規模宅地等の特例のいわゆる老人ホーム特例の
要件に該当する施設であることを確認済みである。
また、サービス付き高齢者向け住宅に入居した時点の
要介護度が要介護2であったことも確認済みである。


⑥土地建物に関する面積等は下記のとおり。

・土地は全体の地積が73.90㎡の宅地。

・建物は1棟。
登記簿上の床面積は、1階46.15㎡、2階50.87㎡、
3階45.95㎡の合計142.97㎡。

・貸テナント部分は、賃貸借契約書によると1階の一部9.93㎡のみ。


⑦相続開始直前における被相続人と次女の夫との
生計関係については、詳細を確認中であるが、
生活費の財布は基本的に一つであったと認識している。
また、施設入居後も被相続人の住民票は自宅から移していないことから、
同一の家屋に起居している場合の生計一の考え方を
採用することができるのではないかと見込んでいる状況である。


⑧本件土地は、相続人である次女が相続する予定である。


【質  問】

この土地に関する評価単位と小規模宅地等の
特例の適用関係の検証において、下記(1)~(4)についてご教示ください。


(1)土地の評価単位について
建物の利用状況としては、被相続人及び次女家族の
自宅部分と、貸テナントとして供している部分とに
分かれていますが、土地の所有者である被相続人の視点から見ると
「土地全体を次女及びその夫に使用貸借により貸し付けている」
状況であることから、評価単位は「土地全体を1画地の
自用地として評価する」ことになると考えておりますが、
この方向性で正しいでしょうか。


(2)小規模宅地等の特例の適用関係について
土地の評価単位は一つであるものの、小規模宅地等の
特例の適用関係を考える際には、特定居住用宅地等部分と
貸付事業用宅地等部分とに区分した上で整理する
必要があると考えております。
そこで、申告書第11表に記載する際には、
土地の評価額を建物の床面積等で按分して2行に区分記載し、
それぞれ小規模宅地等の特例の適用要件に該当するかを
確認した上で、第11・11の2表の付表1を作成し、
特例の適用計算を行うことが相当と考えておりますが、
この方向性で正しいでしょうか。


具体的には、下記のような割合で按分・区分記載した上で、
それぞれの小規模宅地等の特例の適用要件を検討する予定です。


評価対象地の全体の地積:73.90㎡
評価対象地の全体の相続税評価額:約4,800万円

自用地B(貸付事業用宅地等部分):73.90㎡ × 9.93㎡ / 142.97㎡ = 5.1327㎡
自用地A(特定居住用宅地等部分):73.90㎡ - 5.1327㎡ = 68.7673㎡
(参考:床面積 居住部分133.04㎡、
貸テナント部分9.93㎡、合計142.97㎡)

(3)貸付事業用宅地等の適用について
本件の賃貸借契約の貸主は次女の夫(建物持分99/100)ですが
本件の相続人には該当しておらず、土地は
あくまで本件の相続人である次女(建物持分1/100)が
相続により取得する予定です。
この場合でも、措法69条の4第3項4号ロの
「当該親族」の要件を満たし、貸付事業用宅地等として
特例の適用を受けることができるでしょうか。


(4)生計一の判定について(所得税基本通達2-47の解釈)
前提⑦のとおり、被相続人は施設入居後も住民票を
自宅から移しておらず、施設入居前は次女家族と同一の
家屋に起居し、生活費の財布も基本的に一つであったと認識しております。


もっとも、令和5年9月の施設入居以降は、
被相続人が次女家族と同一の家屋に日常起居していない状況となっております。

このように老人ホーム等への入居により同一の
家屋に起居しなくなった場合には、所得税基本通達2-47(2)
(同一の家屋に起居している場合)による判定はできず、
同(1)の「療養等の都合上」日常の起居を
共にしていない場合として、同(1)イ(余暇における起居の常例)
又は同(1)ロ(生活費・療養費等の常時の送金)に
該当する事実がなければ、生計を一にしていたとは
認められないのでしょうか。

それとも、住民票や生活費・財産管理の一体性などから、
入居前の生計一の状態が継続しているものとして、
同(2)に準じたシンプルな判定をすることも許容されるのでしょうか。

実務上の考え方や、判断の拠り所となる事実(例えば、
施設費用の負担者、通帳等の管理状況など)について
ご教示いただけますと幸いです。

【参考条文・通達・URL等】

措置法69条の4、措置法施行令40条の2、所得税基本通達2-47

【添付資料】

https://kachiel.jp/sharefile/sougosoudan/261016_1.jpg



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