[soudan 21163] 契約者が妻である小規模企業共済の掛金を夫が負担していた場合の課税上の取扱いについて
2026年8月26日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

相続・贈与税<財産評価を含まない>

【対象顧客】

個人

【前  提】

契約者が妻である小規模企業共済の掛金を夫が負担していた場合に、
夫の相続税申告において相続財産として計上すべき金額の
考え方について、ご教示いただきたくお願いいたします。


1.
夫(87歳)は令和8年4月に死亡。
個人事業として不動産賃貸業を営んでいました。

妻(85歳)。

夫・妻ともに、昭和58年に小規模企業共済に加入しています。

* 夫:個人事業主として加入 → 令和5年に
共済金を受給済み(約2,800万円)
* 妻:夫が営む個人事業の共同経営者として加入

妻の小規模企業共済の掛金については、昭和58年当時は
夫名義の預金口座からの口座振替により納付することが可能でした。
(現在は契約者本人名義の預金口座しか口座振替することができません)
そのため、妻の掛金については、加入当初から令和8年4月に
夫が死亡するまで、夫名義の預金口座から毎月口座振替に
より納付されていました。

なお、平成9年以降の妻の掛金は月額7万円です。


*夫名義の預金口座から引き落とされていた妻の
小規模企業共済の掛金については、夫の所得税確定申告において
「小規模企業共済等掛金控除」の対象としていませんでした。

(契約者が妻である小規模企業共済の掛金について、
実際には夫が負担していたとしても夫の所得税における
小規模企業共済等掛金控除の対象には
ならないという取扱いは理解しています)

2.相続税申告における疑問点
令和8年4月に死亡した夫の相続税申告において、
契約者が妻である小規模企業共済の掛金を夫が
負担していた場合において相続財産として
どのように取り扱うべきかについて悩んでおります。

考えられる取扱いとして、以下の2つがあるの
ではないかと考えました。


① 支払った掛金について、その都度、夫から妻への贈与として取り扱う

夫名義の預金口座から妻の掛金が引き落とされる都度、
夫から妻に対して「小規模企業共済掛金に充てるための金銭の贈与」
があったものとして取り扱う考え方です。

この場合、相続税申告においては相続開始前3年以内の
贈与について生前贈与加算の対象とする取り扱いが考えられます。

生前贈与加算額は、70,000円 × 36か月 = 2,520,000円

② 夫が実質的な掛金負担者であることを理由に、
「生命保険契約に関する権利」として取り扱う

一般の生命保険契約において、契約者と保険料負担者が
異なる場合には、保険料負担者を税務上の契約者として、
相続開始時点で保険事故が発生していない生命保険契約については
「生命保険契約に関する権利」として評価するかと思います。
この考え方を小規模企業共済についても適用し相続開始時に
おける解約返戻金相当額等を相続財産として計上する取り扱いが考えられます。

現時点では令和8年4月相続開始時における
解約返戻金相当額の正確な金額は把握していませんが、
妻について、納付済掛金の総額は25,176,000円です。


3.小規模企業共済相談室への確認結果
小規模企業共済の共済相談室に
「妻が契約者である小規模企業共済について、
掛金を夫が負担していた場合、
妻が将来受け取る共済金について、
夫から妻への贈与として取り扱われることになるのか」
という点について確認したところ、共済相談室からは、
*共済契約上の契約者は妻である
* 将来、共済金を受け取るのも妻であり、
その共済金は妻の退職所得として取り扱われる
*第一種共済契約(機構にて取り扱っているものは、
すべて第一種共済契約で旧第二種共済契約に該当しない)
との説明を受けました。
一方で、「実際には夫の預金口座から掛金が
引き落とされていた場合の税務上の取扱い」については、
「一般の生命保険契約と小規模企業共済は異なる。
共済金の受取時に贈与税の対象となるかどうかについては、
機構では判断できないため、税務署に相談してほしい」との回答でした。


4.私としては、今回のケースについては、
上記①のとおり、掛金が夫の預金口座から支払われる都度、
夫から妻に対して掛金相当額の贈与があったもの
と考えるのが適当ではないかと思っています。

その理由は以下のとおりです。


<根拠1>妻の国民年金保険料を夫が負担した場合との類似性
妻の国民年金保険料を夫が支払った場合には、
夫が負担した保険料について、
妻が将来国民年金を受給した際に
「年金受給時の贈与(出口課税)」として課税するのではなく、
保険料を支払った時点において夫から妻への贈与が
あったものとして取り扱う考え方(入口課税)があるかと思います。

このような考え方からすると、今回の小規模企業共済についても、
夫が妻のために掛金を負担した時点において、
夫から妻に対して掛金相当額の贈与があったものと
考えるのが自然ではないかと思いました。


<根拠2>所得税上の小規模企業共済等掛金控除に関する裁決等の取扱い
夫が妻の小規模企業共済掛金を負担した場合の
所得控除について、以下の裁決・質疑事例を確認しました。


(1)平成15年1月28日裁決(裁決事例集No.65 268頁)に
以下のような記載がありました。



『3 判断 ロ
共済契約者は毎月分の掛金を翌月末日までに
納付しなければならないとされており、
当審判所が中小企業総合事業団を調査したところによっても、
本件共済掛金はA(妻)が納付したものとなっている。』

→この記載からすると、契約者以外の者が掛金を支払うことは
想定されていない(又は出来ない)取り扱いとなっていると考えました。


(2)TAINS相談事例「所得事例大阪局230504
情報 審理専門官情報第23号 大阪国税局個人課税審理専門官 平成19年1月26日
質疑事例0504 5 所得控除 事例5-4 妻の契約に係る
小規模企業共済掛金を夫が支払った場合の小規模企業共済等掛金控除」
に以下のような記載がありました。


『A(夫)がB(妻)の共済契約に係る掛金を支払ったとしても、
それはA(夫)自身の掛金ではなく、
A(夫)がB(妻)に対して掛金に充てるための資金を
提供しただけのことであるから、』

→この記載からすると、夫が妻に対して掛金に充てるための資金を
提供しその資金によって妻の掛金が納付されたと考える方が
実態に即しているのではないかと思いました。

【質  問】

夫の相続税申告において、夫名義の預金口座から妻の
小規模企業共済の掛金が支払われていた場合に
相続財産に計上すべき金額はいずれにすべきかご教示いただけますでしょうか。


① 掛金が夫の預金口座から引き落とされる都度、
夫から妻への贈与があったものとして取り扱い、
相続開始前3年以内の掛金相当額を生前贈与加算額:70,000円 × 36か月 = 2,520,000円

②実質的な掛金負担者が夫であるため、
妻の小規模企業共済契約について、夫の死亡時における
「共済契約に関する権利」の評価額=解約返戻金相当額(≒25,176,000円)

よろしくお願いいたします。

【参考条文・通達・URL等】

・相続税法第8条(債務引受け等のみなし贈与)
・相続税法第3条第1項第3号(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)

・平成15年1月28日裁決(裁決事例集No.65 268頁)
https://www.kfs.go.jp/service/JP/65/19/index.html



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