[soudan 21112] 「家なき子特例」の適用要件と自益信託(受益者連続型)設定・承継時の税務上の取扱い
2026年8月24日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
所得税<譲渡所得>(石田一弘税理士),相続・贈与税<財産評価を含まない>
【対象顧客】
個人
【前 提】
1. 一次相続の被相続人および相続関係:
・被相続人:母甲
・相続申告期限:10/31
・相続人:長男A、二男C
・相続財産:被相続人(母 甲)が居住していた実家不動産(土地・建物)
・遺産分割:長男Aが当該実家不動産を単独取得(一次相続)。
長男A は「特定居住用宅地等(いわゆる家なき子特例)」の適用要件を満たす前提。
2. 不動産の利用状況・家族構成:
・遺産分割後、長男Aおよび配偶者Bが当該不動産に居住予定
※長男Aと配偶者Bとの間に子なし
3. 家族信託(受益者連続型信託)の設計(予定):
・信託財産: 実家不動産(土地・建物)
・委託者兼第1次受益者: 長男A(自益信託)
・受託者: 二男C
・第2次受益者: 配偶者B(長男A死亡時に受益権を包括承継)
・信託終了事由: 配偶者Bの死亡
・残余財産の帰属権利者: 二男C
※信託の主目的は、将来の資産凍結防止、配偶者Bの
居住・生活保障、および最終的な実家資産の
血族(二男C)への承継にあります。
【質 問】
質問1. 「家なき子特例」の保有継続要件と家族信託設定時期の関係について
小規模宅地等の特例(家なき子特例)の適用にあたっては、
申告期限(10/31)まで当該宅地を所有し続けることが要件とされています。
(1) 遺産分割協議後、申告期限前(10月上旬頃予定)に
「相続登記」と連件で自益信託による「所有権移転及び
信託登記(委託者兼初期受益者:長男A、受託者:二男C)」を経由した場合、
信託登記により宅地等の登記名義は受託者Cに移転するものの、
長男Aが信託受益権を通じて実質的に権利を保有しているとしても、
租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロに定める「申告期限までの
保有継続要件(宅地等を有していること)」を満たさなくなると
判断される(否認される)リスクはありますでしょうか。
(2) それとも、形式的な所有権移転を避けるため、
家族信託の設定(公正証書作成および信託登記)は
申告期限翌日(11月1日以降)まで待つべきでしょうか。
質問2. 信託設定時・受益権承継時・売却時の課税関係について
(1) 信託設定時:
長男Aを委託者兼第1次受益者とする自益信託の設定時において、
所得税・贈与税・不動産取得税等の課税関係は生じない
という認識で相違ないでしょうか。
(2) 一次承継時(長男A死亡時)の配偶者控除・小規模宅地等の特例:
将来の長男Aの死亡(二次相続)に伴い、配偶者Bが
第2次受益者として信託受益権を取得した際、
当該受益権はみなし相続財産(相法9条の2第2項)として
相続税の課税対象となると存じますが、通常の相続財産と同様に
「配偶者の税額軽減(相続税法第19条の2)」の適用は可能でしょうか。
また、当該受益権に対応する宅地等(実家不動産の敷地)についても、
被相続人(長男A)の配偶者であるBが取得することになるため、
「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等、措置法69条の4第3項第2号)」の
適用は可能でしょうか(措置法通達69の4-1の2により、
信託に関する権利であっても特例対象宅地等に含まれると理解しております)。
(3) 信託期間中の譲渡所得税の申告義務者:
信託期間中に受託者(二男C)が信託不動産を第三者へ売却(換価処分)した場合、
譲渡所得の帰属先および譲渡所得税の申告義務者は、
その時点の受益者(長男A、または承継後の配偶者B)になる
という理解で相違ないでしょうか(所得税法13条)。
質問3. 信託終了時(将来の配偶者B死亡時、
三次相続)の相続税課税および2割加算の該否について
配偶者Bの死亡により信託が終了し、残余財産が帰属権利者である
二男Cに帰属(名義変更)する際についてお伺いします。
(1) 二男Cは配偶者Bから信託財産を遺贈に
より取得したものとみなされ(相法9条の2第4項)、
二男Cに相続税の申告・納税義務が発生するという理解で相違ないでしょうか。
(2) 二男Cは配偶者Bの一親等の血族および配偶者ではないため、
二男Cに課される相続税の計算においては
「相続税額の2割加算(相続税法第18条)」の対象となる
という認識で正しいでしょうか。
質問4. 信託期間中に受託者(二男C)が
委託者・受益者より先に死亡した場合の課税関係について
信託期間中、委託者兼受益者(長男A)または
第2次受益者(配偶者B)より先に、受託者(二男C)が
死亡した場合の税務上の取扱いについてお伺いします。
(1) 後継受託者への地位承継時:
信託契約の定めに従い、二男Cの死亡に伴い新たな後継受託者
(例:Cの子等)が就任して受託者変更(所有権移転)登記を行う場合、
信託財産の実質的な経済的利益(受益権)は
引き続き受益者(長男Aまたは配偶者B)に留保されているため、
受益者および新受託者のいずれに対しても相続税・贈与税等の課税関係は
一切生じない(所有権移転登記自体は登録免許税法7条1項3号により
非課税、別途信託登記の変更分として不動産1個につき1,000円
(登録免許税法別表第一1号(十四))を要するのみ)という理解で宜しいでしょうか。
(2) 受託者不在等による信託終了(信託法163条3号)時の課税関係:
仮に、受託者Cの死亡を契機として後継受託者が就任しないまま
1年が経過し、信託が強制終了した場合(信託法163条3号)、
信託契約に帰属権利者C死亡時の補充規定がなければ、
残余財産は信託法第182条第2項に基づき委託者A(またはAの相続人)に
帰属することになると存じます。この場合の税務上の取扱いは、
信託終了時点でA・Bいずれが受益者であるかにより
以下のとおり整理されると存じますが、相違ないでしょうか。
(a) 長男Aが受益者の時点で信託終了した場合:自益信託の
財産が当初の委託者兼受益者Aに戻るのみであるため、
Aおよび配偶者Bに相続税・贈与税等の課税は生じず、
所有権移転登記に係る登録免許税も非課税(登録免許税法第7条第1項第2号)となる。
(b) 長男A死亡後、配偶者Bが受益者の時点で信託終了した場合:
残余財産が「委託者Aの相続人」に帰属することにより、受益者Bから当該取得者への
みなし遺贈(相法9条の2第4項)等として新たな課税関係が生じるリスクがある。
(c) 上記(b)のような不測の課税や混乱を回避するため、
信託契約書において「後継受託者の予備的指定」および
「C死亡時の残余財産承継者(予備的帰属権利者)の指定」を
明記しておくことが実務上必須という認識で宜しいでしょうか。
質問5. その他、家族信託の設計・運用および信託終了(残余財産帰属)に
至るまでの税務上の留意点について
(1) 質問1~4でお伺いした点のほか、
本件のような受益者連続型信託の設計時から信託期間中の管理、
および将来配偶者Bの死亡により二男C へ不動産が帰属するまでの
一連の過程において、税務上(相続税・所得税・登録免許税等)
留意すべき点やリスクがあればご教示いただけますでしょうか。
(2) 信託終了に伴い配偶者Bから二男Cへ残余財産(実家不動産)が
帰属する際の登記原因は「信託財産引継」であり
相続を原因とするものではないため、登録免許税の税率は
相続による所有権移転登記(0.4%)ではなく、
原則税率(固定資産税評価額の2%)が適用されるという認識でおります。
もっとも、登録免許税法第7条第2項には、信託財産を受託者から
受益者(帰属権利者)に移す場合で、かつ信託設定時から
「委託者=元本の受益者」であり、財産を取得する当該受益者が
信託設定時の委託者の相続人であるとき等、
一定の要件を満たせば相続と同様の税率(0.4%)に軽減される
特例規定があると理解しております。
本件で二男Cがこの軽減規定の対象となる余地はあるか、
また対象となるために信託契約書の設計(委託者の地位の承継規定等)
で留意すべき点があれば、併せてご教示いただけますでしょうか。
以上、ご回答のほど宜しくお願いします。
下記について教えて下さい。
【税 目】
所得税<譲渡所得>(石田一弘税理士),相続・贈与税<財産評価を含まない>
【対象顧客】
個人
【前 提】
1. 一次相続の被相続人および相続関係:
・被相続人:母甲
・相続申告期限:10/31
・相続人:長男A、二男C
・相続財産:被相続人(母 甲)が居住していた実家不動産(土地・建物)
・遺産分割:長男Aが当該実家不動産を単独取得(一次相続)。
長男A は「特定居住用宅地等(いわゆる家なき子特例)」の適用要件を満たす前提。
2. 不動産の利用状況・家族構成:
・遺産分割後、長男Aおよび配偶者Bが当該不動産に居住予定
※長男Aと配偶者Bとの間に子なし
3. 家族信託(受益者連続型信託)の設計(予定):
・信託財産: 実家不動産(土地・建物)
・委託者兼第1次受益者: 長男A(自益信託)
・受託者: 二男C
・第2次受益者: 配偶者B(長男A死亡時に受益権を包括承継)
・信託終了事由: 配偶者Bの死亡
・残余財産の帰属権利者: 二男C
※信託の主目的は、将来の資産凍結防止、配偶者Bの
居住・生活保障、および最終的な実家資産の
血族(二男C)への承継にあります。
【質 問】
質問1. 「家なき子特例」の保有継続要件と家族信託設定時期の関係について
小規模宅地等の特例(家なき子特例)の適用にあたっては、
申告期限(10/31)まで当該宅地を所有し続けることが要件とされています。
(1) 遺産分割協議後、申告期限前(10月上旬頃予定)に
「相続登記」と連件で自益信託による「所有権移転及び
信託登記(委託者兼初期受益者:長男A、受託者:二男C)」を経由した場合、
信託登記により宅地等の登記名義は受託者Cに移転するものの、
長男Aが信託受益権を通じて実質的に権利を保有しているとしても、
租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロに定める「申告期限までの
保有継続要件(宅地等を有していること)」を満たさなくなると
判断される(否認される)リスクはありますでしょうか。
(2) それとも、形式的な所有権移転を避けるため、
家族信託の設定(公正証書作成および信託登記)は
申告期限翌日(11月1日以降)まで待つべきでしょうか。
質問2. 信託設定時・受益権承継時・売却時の課税関係について
(1) 信託設定時:
長男Aを委託者兼第1次受益者とする自益信託の設定時において、
所得税・贈与税・不動産取得税等の課税関係は生じない
という認識で相違ないでしょうか。
(2) 一次承継時(長男A死亡時)の配偶者控除・小規模宅地等の特例:
将来の長男Aの死亡(二次相続)に伴い、配偶者Bが
第2次受益者として信託受益権を取得した際、
当該受益権はみなし相続財産(相法9条の2第2項)として
相続税の課税対象となると存じますが、通常の相続財産と同様に
「配偶者の税額軽減(相続税法第19条の2)」の適用は可能でしょうか。
また、当該受益権に対応する宅地等(実家不動産の敷地)についても、
被相続人(長男A)の配偶者であるBが取得することになるため、
「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等、措置法69条の4第3項第2号)」の
適用は可能でしょうか(措置法通達69の4-1の2により、
信託に関する権利であっても特例対象宅地等に含まれると理解しております)。
(3) 信託期間中の譲渡所得税の申告義務者:
信託期間中に受託者(二男C)が信託不動産を第三者へ売却(換価処分)した場合、
譲渡所得の帰属先および譲渡所得税の申告義務者は、
その時点の受益者(長男A、または承継後の配偶者B)になる
という理解で相違ないでしょうか(所得税法13条)。
質問3. 信託終了時(将来の配偶者B死亡時、
三次相続)の相続税課税および2割加算の該否について
配偶者Bの死亡により信託が終了し、残余財産が帰属権利者である
二男Cに帰属(名義変更)する際についてお伺いします。
(1) 二男Cは配偶者Bから信託財産を遺贈に
より取得したものとみなされ(相法9条の2第4項)、
二男Cに相続税の申告・納税義務が発生するという理解で相違ないでしょうか。
(2) 二男Cは配偶者Bの一親等の血族および配偶者ではないため、
二男Cに課される相続税の計算においては
「相続税額の2割加算(相続税法第18条)」の対象となる
という認識で正しいでしょうか。
質問4. 信託期間中に受託者(二男C)が
委託者・受益者より先に死亡した場合の課税関係について
信託期間中、委託者兼受益者(長男A)または
第2次受益者(配偶者B)より先に、受託者(二男C)が
死亡した場合の税務上の取扱いについてお伺いします。
(1) 後継受託者への地位承継時:
信託契約の定めに従い、二男Cの死亡に伴い新たな後継受託者
(例:Cの子等)が就任して受託者変更(所有権移転)登記を行う場合、
信託財産の実質的な経済的利益(受益権)は
引き続き受益者(長男Aまたは配偶者B)に留保されているため、
受益者および新受託者のいずれに対しても相続税・贈与税等の課税関係は
一切生じない(所有権移転登記自体は登録免許税法7条1項3号により
非課税、別途信託登記の変更分として不動産1個につき1,000円
(登録免許税法別表第一1号(十四))を要するのみ)という理解で宜しいでしょうか。
(2) 受託者不在等による信託終了(信託法163条3号)時の課税関係:
仮に、受託者Cの死亡を契機として後継受託者が就任しないまま
1年が経過し、信託が強制終了した場合(信託法163条3号)、
信託契約に帰属権利者C死亡時の補充規定がなければ、
残余財産は信託法第182条第2項に基づき委託者A(またはAの相続人)に
帰属することになると存じます。この場合の税務上の取扱いは、
信託終了時点でA・Bいずれが受益者であるかにより
以下のとおり整理されると存じますが、相違ないでしょうか。
(a) 長男Aが受益者の時点で信託終了した場合:自益信託の
財産が当初の委託者兼受益者Aに戻るのみであるため、
Aおよび配偶者Bに相続税・贈与税等の課税は生じず、
所有権移転登記に係る登録免許税も非課税(登録免許税法第7条第1項第2号)となる。
(b) 長男A死亡後、配偶者Bが受益者の時点で信託終了した場合:
残余財産が「委託者Aの相続人」に帰属することにより、受益者Bから当該取得者への
みなし遺贈(相法9条の2第4項)等として新たな課税関係が生じるリスクがある。
(c) 上記(b)のような不測の課税や混乱を回避するため、
信託契約書において「後継受託者の予備的指定」および
「C死亡時の残余財産承継者(予備的帰属権利者)の指定」を
明記しておくことが実務上必須という認識で宜しいでしょうか。
質問5. その他、家族信託の設計・運用および信託終了(残余財産帰属)に
至るまでの税務上の留意点について
(1) 質問1~4でお伺いした点のほか、
本件のような受益者連続型信託の設計時から信託期間中の管理、
および将来配偶者Bの死亡により二男C へ不動産が帰属するまでの
一連の過程において、税務上(相続税・所得税・登録免許税等)
留意すべき点やリスクがあればご教示いただけますでしょうか。
(2) 信託終了に伴い配偶者Bから二男Cへ残余財産(実家不動産)が
帰属する際の登記原因は「信託財産引継」であり
相続を原因とするものではないため、登録免許税の税率は
相続による所有権移転登記(0.4%)ではなく、
原則税率(固定資産税評価額の2%)が適用されるという認識でおります。
もっとも、登録免許税法第7条第2項には、信託財産を受託者から
受益者(帰属権利者)に移す場合で、かつ信託設定時から
「委託者=元本の受益者」であり、財産を取得する当該受益者が
信託設定時の委託者の相続人であるとき等、
一定の要件を満たせば相続と同様の税率(0.4%)に軽減される
特例規定があると理解しております。
本件で二男Cがこの軽減規定の対象となる余地はあるか、
また対象となるために信託契約書の設計(委託者の地位の承継規定等)
で留意すべき点があれば、併せてご教示いただけますでしょうか。
以上、ご回答のほど宜しくお願いします。
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