[soudan 20697] 株式譲渡収入時期の原則と例外_例外が認められるケースの判断要素
2026年7月27日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

所得税<譲渡所得>(石田一弘税理士)

【対象顧客】

個人

【前  提】

現状、内国法人Aの株式を100%保有する代表取締役である個人Xは、
M&AによりA社株式の全数を第三者である内国法人Bに譲渡することを想定

・現状、特定の買手であるBとの間で基本合意は締結済であり、DD準備のフェーズにある
・想定スケジュール通りであれば2026年内にBへ株式引渡しの見込
・M&Aによる株式譲渡対価は総額で10億を想定
・M&A後もXはA社の役員を継続する予定であり、M&A時点で
 Xに役員退職金を支給することは想定していない(Xの役職・待遇は今後協議)
・A社は株券不発行会社である
・株式譲渡契約に当たって、停止条件等は付さない見込

その上で、売主である個人Xは1点懸念がある。

M&AのDD実行や株式譲渡契約内容の交渉によっては、
想定スケジュールから遅延が生じる可能性があり、
2026年中と想定していた株式の引渡しが
2027年1月以降にずれ込む可能性がある点である。


2026年中に株式引渡しが完了すれば、特定の
基準所得金額の課税の特例(租税特別措置法41の19)による
追加の課税は生じない見込みだが、仮に株式引渡しの完了時期が
2027年1月以降にずれ込むと、特定の基準所得金額の課税の特例
(租税特別措置法41の19)が令和8年度税制改正による見直し後の基準となるため、
所得税額の負担が大きく変わることを懸念している。

補足:2026年中ではなく2027年1月以降の株式引渡しとなると、
約90百万円の所得税負担の増加が見込まれる

補足:2026年におけるXの所得はA社から受取る役員報酬と
A社株式の譲渡による譲渡所得のみと見込まれ、
A社株式以外に分離課税の対象となるような所得が生じる事は見込まれない

その上で、「租税特別措置法関係通達
37の10・37の11共-18 「取得をした日」の判定(1)」には以下の記載がある。

(1)他から取得した株式は、引渡しがあった日による。

ただし、納税者の選択により、当該株式の取得に関する契約の効力発生の日を
取得をした日として申告があったときは、これを認める。


【質  問】

1.上記通達の記載によれば、原則は株式引渡し日を
株式譲渡収入時期としますが、例外として、契約の効力発生日を
株式の譲渡収入時期とすることも認められるように見受けられます。

仮に、想定スケジュール通りにいかず、
株式引渡しの時点が2027年1月以降と想定される場合において、
2026年12月中に株式譲渡契約を締結すれば、
2026年中の譲渡として認められる可能性はありますでしょうか。

個人的な見解ではありますが、M&Aの株式譲渡契約は
契約締結日から株式引渡日までの間に、

株式譲渡の前提条件となるプレ・クロージング事項の対応
(例:重要契約先や取引先への通知、DD等で発見された問題点の解消等)を
することが条件としていることが多いと思われます。

このようなプレ・クロージング事項が解消できない場合には、
株式譲渡契約自体の解除や株式譲渡代金の減額、
金額的な特別補償の話に繋がっていくと想定されます。


上記を踏まえますと、仮に2026年中にXが株式譲渡契約の契約日に基づきによる
譲渡収入を認識して所得税の確定申告をしても、
プレ・クロージング対応のうち重要事項が2026年中に完了していない場合には、
株式等を契約日で譲渡したとXが主張しても、
A社株式の経済的利益及びリスクが買手であるBには移転しておらず、
Xが実質的に継続保有しているとみられるリスクがあると考えております。

一方で、株式譲渡契約の契約締結日2026年12月、
株式の引渡し日が2027年1月であっても、
プレ・クロージング対応などは特段なく、
契約締結日時点でA社株式の経済的利益及びリスクが
XからBに移転している場合には、
2026年12月に株式譲渡収入を認識する余地もゼロではないと考えております。

個別判断が入る内容であり恐縮ではありますが、
可能な範囲でご見解を伺えますと幸いです。


2.所得税基本通達36-12 (注1)には以下の記載がございます。

(注1)山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、
(~省略~)当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を
了した日より後にはならないのであるから留意する。

上記の文言だけ拝見しますと、株式譲渡代金の決済をすれば
株式譲渡収入を計上してもよいようにも見受けられます。


仮に、2026年12月中に株式譲渡契約を
締結及び株式譲渡代金の決済をすることにより、
2027年1月以降にA社株式の経済的利益とリスクが
XからBに移転して株式引渡しが行われた場合であっても、

2026年12月を株式譲渡収入時期とすることが
できる余地はございますでしょうか。


個人的な見解ではありますが、BにA社株式の
経済的利益とリスクが実質的に移転していない場合には、
株式譲渡代金を2026年12月中にBが支払ってもX側では
前払金等として取り扱われる懸念があると想定しております。


3.全般的な質問となってしまいますが、株式譲渡収入時期を検討するにあたって、
参考となる判断要素の項目及び裁決・判決例等はございますでしょうか。

個別判断が入る内容であり恐縮ではありますが、
可能な範囲でご回答いただけますと幸いです。

【参考条文・通達・URL等】

所得税法36条1項
所得税法基本通達36-12
租税特別措置法関係通達 37の10・37の11共-18
租税特別措置法41の19
平成12年4月14日裁決・裁決事例集59号99頁
平成9年6月30日裁決・裁決事例集53号129頁



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