[soudan 20670] 使用人兼務役員の使用人分給与のベースアップに伴い、役員給与部分を変動させた場合の定期同額給与の判定
2026年7月27日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。

【税  目】

法人税

【対象顧客】

法人

【前  提】

1.当社は1月決算法人です。


2.取締役Aは、法人税法上の使用人兼務役員に該当するものとします。


3.取締役Aの役員給与と使用人分給与の合計額は、
従前から月額1,000,000円です。

従前の内訳を便宜上、次のように表します。

・使用人分給与:月額S円
・役員給与:月額R円
・合計額:S円+R円=1,000,000円

4.株主である親会社から、令和8年4月20日付けの書面により、
当社の株主総会の翌月である令和8年5月から1年間について、
取締役Aの月給上限を1,000,000円とする旨の指定を受けています。
この1,000,000円は、役員給与と使用人分給与の合計額です。


5.当社は、上記の親会社からの指定を受け、
令和8年4月22日付けで、取締役Aの役員給与と使用人分給与の合計額を、
令和8年5月から月額1,000,000円とする旨を決定し、
親会社に書面で通知しています。

なお、両書面には、役員給与と使用人分給与の
具体的な内訳は記載されていません。


6.当社では、毎年4月に一般従業員の昇給及びベースアップを行い、
4月分の増額差額を5月に遡及して支給しています。

令和8年については、一般従業員の給与について
月額10,000円のベースアップが実施されました。
取締役Aについても、使用人としての職務に対する給与に
同じベースアップを反映させています。


7.一方、取締役Aについては、役員給与と使用人分給与の
合計額を月額1,000,000円以内に維持するため、
使用人分給与の増額額と同額を役員給与から減額しています。


具体的な支給額の推移は、次のとおりです。

(1)令和8年4月以前
・使用人分給与:S円
・役員給与:R円
・合計額:1,000,000円

(2)令和8年5月
5月分のベースアップ10,000円と、4月分の
遡及差額10,000円の合計20,000円を使用人分給与に加算。

・使用人分給与:S円+20,000円
・役員給与:R円-20,000円
・合計額:1,000,000円

(3)令和8年6月から令和9年4月まで
・使用人分給与:S円+10,000円
・役員給与:R円-10,000円
・合計額:1,000,000円

したがって、役員給与部分だけを見ると、次のように推移しています。

・令和8年4月以前:R円
・令和8年5月:R円-20,000円
・令和8年6月以降:R円-10,000円

8.取締役Aについては、取締役就任後にベースアップが実施された年度には、
過去3年程度、同様の方法により、使用人分給与を増額し、
その増額相当額を役員給与から減額する処理を継続しています。


【質  問】

1.定期同額給与の該当性について
使用人兼務役員に対する使用人としての職務に対する給与は、
法人税法第34条第1項の役員給与規制の対象から除かれるため、
本件では役員給与部分について定期同額給与の判定を行うことになると考えます。


一方、次の事情があります。

・役員給与と使用人分給与の合計額は、毎月1,000,000円で変わらないこと
・令和8年4月22日の時点で、月額総額1,000,000円とする決定がされていること
・使用人分給与の増額は、一般従業員と同一のベースアップ基準に基づくこと
・5月と6月以降の内訳の差は、4月分のベースアップ遡及額10,000円の有無だけであること
・過去にも同様の計算方法を継続していること

これらを踏まえた場合、令和8年5月及び6月以降の役員給与部分は、
定期同額給与に該当すると考えてよいでしょうか。

それとも、役員給与部分については、5月のR円-20,000円から、
6月にR円-10,000円へ10,000円増額されたものとして、
定期同額給与に該当しない部分が生じるでしょうか。



2.総額のみを決定していることについて
親会社及び当社の書面では、取締役Aの役員給与と使用人分給与の
合計額1,000,000円のみを定めており、
それぞれの具体的な内訳は定めていません。


この場合、役員給与部分の金額について、令和8年4月22日までに
適法な改定決定がされていないと判断される可能性があるでしょうか。



3.損金不算入額について
仮に、令和8年5月の役員給与を「R円-20,000円」とする改定は認められる一方、
令和8年6月以降の「R円-10,000円」への変更が、
法人税法施行令第69条第1項第1号に該当しない増額改定と判断された場合、
損金不算入額は次のとおりと考えてよいでしょうか。


・令和9年1月期:80,000円
・令和10年1月期:0円
・2事業年度合計:80,000円

(理由)
令和9年1月期:10,000円×8か月(令和8年6月から令和9年1月まで)=80,000円

令和10年1月期:令和9年2月から4月までは、
期首から「R円-10,000円」を同額で支給。
定期同額給与は事業年度ごとに判定するため、
前事業年度における損金不算入の取扱いは翌事業年度に引き継がれず、
令和10年1月期の損金不算入額は0円となる。

【参考条文・通達・URL等】

1.国税庁「No.5211 役員に対する給与」
使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対する給与は、
法人税法第34条第1項の役員給与規制の対象から除かれる旨。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm

2.国税庁「定期給与の額を改定した場合の損金不算入額(定期同額給与)」
適法な改定事由に該当しない増額改定について、増額前の支給額に
上乗せして支給した部分を損金不算入とする事例。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/03.htm

3.国税庁「定期給与の増額改定に伴う一括支給額(定期同額給与)」
既に終了した職務に対して事後に増額し、一括支給する役員給与は、
定期同額給与等に該当せず、損金不算入になるとする事例。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/14.htm

4.法人税法第34条第1項第1号及び第6項

5.法人税法施行令第69条第1項第1号



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