[soudan 18331] 共有名義マンションの賃料収入を使用貸借により一方に帰属させることの可否
2026年3月24日
税務相互相談会の皆さん
下記について教えて下さい。
【税 目】
所得税<申告所得税・源泉所得税>(山形富夫税理士)
【対象顧客】
個人
【前 提】
離婚した元夫婦が区分所有マンション(築約40年)を共有名義で所有しています。
現在は空室で、今後第三者に賃貸することを検討しています。
元夫は脳血管障害により特別養護老人ホームに入所中ですが、意思疎通・署名は可能な状態です。
元夫婦間のやり取りも問題なくできており、元夫からは「妻名義で賃貸し、賃料は全額妻が受け取ってよい」という
了承を得ています。
このような状況において、元夫の共有持分について使用貸借契約等を締結し、
妻が一括して第三者に賃貸することで、賃料収入の全額を妻の不動産所得として
申告することが可能かどうかをご教示いただきたく存じます。
【質 問】
上記の前提において、元夫の共有持分につき使用貸借契約を締結し、
妻が単独で第三者に賃貸した場合、賃料収入の全額を妻の不動産所得とすることは認められるでしょうか。
私見では、以下の理由から困難ではないかと考えています。
・所得税法第12条(実質所得者課税の原則)及び所得税基本通達12-1は、資産から生ずる収益の帰属を
「その収益の基因となる資産の真実の権利者」により判定するとしており、共有持分の所有権が移転しない以上、
各共有者の持分割合に応じて所得が帰属するのが原則であること
・大阪高裁令和4年7月20日判決(親所有の土地を子が使用貸借で借り受けて駐車場業を営んだ事案)では、
使用貸借契約が有効に存在する場合であっても、土地の所有権者が収益を実質的に支配しているとして、
所得は所有権者(親)に帰属すると判断されたこと
・当事者間の合意のみで所得の帰属先を自由に変更できるとすれば、累進課税の回避手段として利用され得ること
一方で、以下の点から「認められる余地があるのではないか」とも考えており、ご見解を伺いたく存じます。
・上記大阪高裁の事案は親子間の相続税対策が目的であったのに対し、本件は離婚した元夫婦間であり、
租税回避の意図は認められにくいのではないか
・元夫が特養入所中で自ら不動産管理・賃貸を行うことが事実上困難であり、妻が管理する実質的な
必要性がある点で、上記判例の事案とは事情が異なるのではないか
・同事件の第一審(大阪地裁令和3年4月22日判決)では、収益権基準に基づき、使用貸借契約が
有効に成立していれば収益は借主(子)に帰属するとの判断がなされており、学説上も見解が分かれていること
・税務大学校の研究論文(論叢第102号)においても、使用貸借における不動産所得の帰属について
「取扱いの法的根拠は必ずしも整理されていない」と指摘されていること
【参考条文・通達・URL等】
所得税法第12条(実質所得者課税の原則)
所得税基本通達12-1(資産から生ずる収益を享受する者の判定)
大阪高裁令和4年7月20日判決(親所有地の使用貸借・駐車場収益の帰属)
大阪地裁令和3年4月22日判決(同事件第一審・収益権基準により借主帰属と判断)
税務大学校論叢第102号「不動産所得に係る実質所得者課税の原則について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/102/03/index.htm
真鍋・日隈法律事務所「大阪高裁令和4年7月20日判決の批判的検討」
https://note.com/taxmh/n/n53f95349a153
下記について教えて下さい。
【税 目】
所得税<申告所得税・源泉所得税>(山形富夫税理士)
【対象顧客】
個人
【前 提】
離婚した元夫婦が区分所有マンション(築約40年)を共有名義で所有しています。
現在は空室で、今後第三者に賃貸することを検討しています。
元夫は脳血管障害により特別養護老人ホームに入所中ですが、意思疎通・署名は可能な状態です。
元夫婦間のやり取りも問題なくできており、元夫からは「妻名義で賃貸し、賃料は全額妻が受け取ってよい」という
了承を得ています。
このような状況において、元夫の共有持分について使用貸借契約等を締結し、
妻が一括して第三者に賃貸することで、賃料収入の全額を妻の不動産所得として
申告することが可能かどうかをご教示いただきたく存じます。
【質 問】
上記の前提において、元夫の共有持分につき使用貸借契約を締結し、
妻が単独で第三者に賃貸した場合、賃料収入の全額を妻の不動産所得とすることは認められるでしょうか。
私見では、以下の理由から困難ではないかと考えています。
・所得税法第12条(実質所得者課税の原則)及び所得税基本通達12-1は、資産から生ずる収益の帰属を
「その収益の基因となる資産の真実の権利者」により判定するとしており、共有持分の所有権が移転しない以上、
各共有者の持分割合に応じて所得が帰属するのが原則であること
・大阪高裁令和4年7月20日判決(親所有の土地を子が使用貸借で借り受けて駐車場業を営んだ事案)では、
使用貸借契約が有効に存在する場合であっても、土地の所有権者が収益を実質的に支配しているとして、
所得は所有権者(親)に帰属すると判断されたこと
・当事者間の合意のみで所得の帰属先を自由に変更できるとすれば、累進課税の回避手段として利用され得ること
一方で、以下の点から「認められる余地があるのではないか」とも考えており、ご見解を伺いたく存じます。
・上記大阪高裁の事案は親子間の相続税対策が目的であったのに対し、本件は離婚した元夫婦間であり、
租税回避の意図は認められにくいのではないか
・元夫が特養入所中で自ら不動産管理・賃貸を行うことが事実上困難であり、妻が管理する実質的な
必要性がある点で、上記判例の事案とは事情が異なるのではないか
・同事件の第一審(大阪地裁令和3年4月22日判決)では、収益権基準に基づき、使用貸借契約が
有効に成立していれば収益は借主(子)に帰属するとの判断がなされており、学説上も見解が分かれていること
・税務大学校の研究論文(論叢第102号)においても、使用貸借における不動産所得の帰属について
「取扱いの法的根拠は必ずしも整理されていない」と指摘されていること
【参考条文・通達・URL等】
所得税法第12条(実質所得者課税の原則)
所得税基本通達12-1(資産から生ずる収益を享受する者の判定)
大阪高裁令和4年7月20日判決(親所有地の使用貸借・駐車場収益の帰属)
大阪地裁令和3年4月22日判決(同事件第一審・収益権基準により借主帰属と判断)
税務大学校論叢第102号「不動産所得に係る実質所得者課税の原則について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/102/03/index.htm
真鍋・日隈法律事務所「大阪高裁令和4年7月20日判決の批判的検討」
https://note.com/taxmh/n/n53f95349a153
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