[inspire 00605] 交際費の経費性と当局の立証責任について
2022年11月29日

所得税(事業所得)の調査についてご教授ください。

(状況)
・所得税の調査で、申告内容は、事業所得(上場コンサルがメイン)の赤字(収入の数倍。多額の交際費による。)と給与所得を損益通算しており、給与所得での源泉徴収税額が還付されております。

・交際費の内容は、数名のキーマンを介して、IPOに関連する仕事をしている人を複数名飲食店に招いて飲食させ、情報提供を依頼したりネットワークづくりをするというもので、これを繰り返し行なったものです。
本人(納税者)としては、これらの飲食でネットワークを構築・維持し、その中から、大きなビジネスチャンスを数年に一度獲得しておりますので、事業に要する必要経費と考えております。

・調査官が、交際費(飲食)の明細の全てについて、相手の氏名、住所、電話番号、勤務先または本人との関係性を一覧化(リスト化)することを求めており、その上で、「連絡がつかない場合は存在していない人として処理する」旨の記載のある書面を送付してきました。

(質問)
・経費性について
このようなタイプの経費は、必要経費と認められるでしょうか。(ちなみに、数年前の調査では、全額認められました。)
また、認められないとしても、飲食に係る支出をすべて否認することはできず、収入との見合いで一定の割合や、上限額を定めるようなかたちで、落としどころを決めていくのが一般的でしょうか。
その際、内部的に指標となる(交渉可能な)割合等はありますか。

・調査スタンスについて
「連絡がつかない場合は存在していない人として処理する」と通知してきております。
(1)初めから多くの者に確認(反面調査)をすることを予定しているようにも読めますが、下記事務運営指針等の反面調査に関するスタンスに沿っていないと思われますが、この点を指摘することは、効果的でしょうか。

(2)当該リストを提出することで当方の説明義務は一定程度果たしていると考えます。また、リストに記載した者が、異動・退職等で連絡がつかない場合や、連絡がついたとしても知らない・覚えていない等の調査に消極的な対応をする場合も十分に考えられます。
このような状況において、当方の回答(リスト提出)前に、上記のような内容を記載した通知することは、当局の立証責任を果たしていないのではないかと考えますが、これを交渉材料とすることは可能でしょうか。


以上、よろしくお願いいたします。



(参考資料)

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)


(6) 反面調査の実施 取引先等に対する反面調査の実施に当たっては、その必要性と反面調査先への事前連絡の適否を十分検討する。

(注) 反面調査の実施に当たっては、反面調査である旨を取引先等に明示した上で実施することに留意する。

(7) 証拠の収集・保全と的確な事実認定
調査の過程において、申告内容等に関して非違が疑われる事項を把握した場合には、納税義務者及び税務代理人にその事項について十分な説明を求め、その意見又は主張を十分聴取した上で、納税義務者及び税務代理人の説明内容等を整理し、必要な証拠の収集・保全を行った上で的確な事実認定を行い、法第74条の11第2項に基づく調査結果の内容の説明の対象となる更正決定等をすべきと認められる非違であるか否かについて適切に判断する。


税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

問23 取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのですか。

 税務当局では、取引先など納税者の方以外の方に対する調査を実施しなければ、納税者の方の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対し、いわゆる反面調査を実施することがあります。

反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はありませんが、運用上、原則として、あらかじめその対象者の方へ連絡を行うこととしています。



国税通則法
(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第百三十一条第一項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)若しくは輸出物品(同法第八条第一項(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)に規定する物品をいう。第四号イにおいて同じ。)又はこれらの帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる
一 所得税に関する調査 次に掲げる者
イ 所得税法の規定による所得税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は同法第百二十三条第一項(確定損失申告)、第百二十五条第三項(年の中途で死亡した場合の確定申告)若しくは第百二十七条第三項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者
ロ 所得税法第二百二十五条第一項(支払調書及び支払通知書)に規定する調書、同法第二百二十六条第一項から第三項まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は同法第二百二十七条から第二百二十八条の三の二まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者

ブログ

立証責任が税務署側にある法的根拠  2016.4.11
https://kachiel.jp/blog/%e7%ab%8b%e8%a8%bc%e8%b2%ac%e4%bb%bb%e3%81%8c%e7%a8%8e%e5%8b%99%e7%bd%b2%e5%81%b4%e3%81%ab%e3%81%82%e3%82%8b%e6%b3%95%e7%9a%84%e6%a0%b9%e6%8b%a0/


立証責任と説明義務の違い 2016.4.13
https://kachiel.jp/blog/%E7%AB%8B%E8%A8%BC%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E3%81%A8%E8%AA%AC%E6%98%8E%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84/




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