久保さん
下記について教えて下さい。
【前 提】
1、事案の概要
■対象法人の業種
YouTube配信を主軸とし、オンラインサロンや会員制コミュニティを運営している。
全国各地でリアルイベントや参拝ツアー、ファンミーティング等を企画・運営している。
年末のオンラインイベント等、会員向け企画も定期的に実施している。
いわゆるYouTuber・インフルエンサー業態の法人である。
■ビジネスモデルの特徴
オンライン配信は着物中心の和装コンセプトで統一されている。
全国各地でリアルイベントや参拝ツアーを継続的に開催している。
代表者本人のほか、取締役の妻も一部イベントに登壇することがある。
■調査の概要
調査対象期間は直近3期分で、顧問税理士が立会いで対応中である。
調査は昨年から継続している。
【質 問】
2、否認対象となっている経費
■争点となっている勘定科目
消耗品費(衣類・靴・サングラス等の装飾品類・被服費)に多くの否認対象がある。
交際費(取締役である妻の靴・贈答品・飲食代等)も指摘されている。
旅費交通費(出張先のホテル代・移動費等)も一部指摘されている。
■特に問題となっている被服費関連の具体的内容
衣料品量販店の衣類が複数点あり、
リアルイベント登壇用のサングラス、カジュアルスーツである。
複数のアパレルブランドの衣類が計数点あり、これも登壇用として購入している。
スポーツブランドの靴が複数あり、サイズ表記から用途について指摘を受けている。
ブランドの衣類が複数点あり、主に冬場のイベント登壇用である。
また取締役(妻)のブランド靴が複数足あり、登壇時のドレスアップ用として購入。
サングラス等の装飾品は屋外イベントや撮影備品として使用している。
■経費計上の理由(当方の主張の詳細)
東京のリアルイベント登壇時のカジュアルスーツとして使用している。
リアルイベント用および参拝時の足元の安全確保(滑り止めが必要な場所)。
撮影備品として、および夏場の屋外イベントでのUV対策として使用している。
妻のリアルイベント登壇時のドレスアップ用履物として使用している。
冬場のイベントは着物で体調を崩した経緯があり、カジュアルで登壇している。
■否認対象の規模
現時点で税務署から届いている疑義のある経費一覧は数十万円分のみである。
しかし調査官が「同様の項目を3年分詳細に詰めて改めて伝える」と発言している。
最終的には3期分で総額約150万円規模になる見込みとなっている。
3、争点の核心的対立
■論点1:使用実態について
税務署の主張:
社長の主観的主張だけでは経費性を認められない。(被服費)
客観的な証拠が必要である。
納税者の主張:
当該被服費等は仕事でのみ使用している。
プライベートでは一切使用していない。
■論点2:区分可能性について
税務署の主張:
明瞭に区分できる客観的証拠がないため全額否認を求めるとのこと。
納税者の主張:
全額が業務使用のみであるため、そもそも区分すべき私用部分が存在しない。
■論点3:適用法理について
税務署の主張:
家事関連費として所得税法施行令96条の考え方を援用している。
納税者の主張:
本件は法人税の損金の問題であり、家事関連費の考え方は適用されない。
法人税法独自の判断が必要であると主張している。
4,税務署の主張詳細
■書面での論理構成(2月25日付書面より要旨)
必要経費は「売上原価その他当該収入金額を得るため直接に要した費用の額」と規定。
本件費用は一部事業に必要な部分(YouTube撮影での着物等)は認められる。
しかし同時に家事上の費用とも関連を有する、としている。
家事関連費として必要経費と認めるには以下の2要件が必要であるとする。
①主たる部分が収入を得るために必要であることが明らかであること
②その部分の金額が明瞭に区分できる場合であること
被服費は「誰もが必要とし、個人の趣味嗜好により差異があり、
耐用年数にも個人差が存する」ため、
一般的に個人的な家事費に属するとの判断。
警察職員における制服のように、使用者から着用を命ぜられ、職務遂行上以外
では着用できないようなもののみ経費性を認めるべき、としている。
本件は購入から使用する一連の流れの中に、収入を得るために必要であること
が明らかであり、かつ明瞭に区分できるものがない、とする。
全額を必要経費として支出した事実を認めるに足りる証拠はない。
よって所得金額の再計算を行っていただく必要があるとの見解である。
■条文・判例の根拠
条文根拠の明示はなく、
家事関連費(被服費)の考え方のみを援用している状況である。
判例根拠は
京都地裁昭和49年5月30日判決と思われる文言を引用している。
■調査官の口頭発言(面談時の重要発言)
「仕事でしか使っていないのは分かる」と業務使用の事実を心証では認めている。
一方で「客観的に区分できないのでダメ」と立証不足を理由に否認している。
調査官から「按分でもダメか」との軽い打診があったが、
当方は全ての用途が仕事使用のみであるため按分はしない方針で拒否している。
また、調査官から「処分について」との発言が出始めたが、当方はまだ納得して
いないため、その段階での処分議論も拒否している状況である。
5、納税者の主張詳細
■法人税と所得税の区別論(当方主張の核心)
本件は法人の経費であり、法人税法上の損金の判断になるはずである。
法人税は「損金」の概念であり、法人は営利を目的として活動する主体である。
個人の所得税とは考え方が根本的に異なると考えている。
法人の支出は原則として事業のための支出と考えられる。
損金として認められないのは「事業と関係のない支出」であった場合のみである。
必要経費が明確に区分されていないという理由のみで法人の損金を否認することは、
法人税の考え方とは異なるのではないかと主張している。
法人の経費を否認するためには、私的使用の事実、事業無関係の事実、個人的費用
の事実の確認が必要と考えている。
必要経費が明確でないという理由だけでの否認は適切でない、との立場。
■事実関係の主張
使用実態は仕事でのみ使用、プライベートでは一切使用していないと主張している。
事業以外の目的で使用したものは一切含まれていないとの説明である。
撮影形態は多様で、着物撮影だけでなくリアルイベント登壇、各種ツアー、
屋外移動等の多様な事業活動が存在している。
証拠資料としてイベント写真の一部を提出済みである(ただし現状は限定的)。
会社経費で購入したものは社長の私物とは趣味・デザインの傾向が異なる(本人談)。
■当方主張の現状の弱点(率直に開示)
動画内・イベント時の着用写真は一部のみで、網羅性がないのが現状。
事業所保管ではなく社長の自宅保管となっている点も弱点である。
動画内着用シーンの網羅的リストが整備されていないのが実情。
社長の私物との比較証拠(クローゼット写真等)がないのも問題。
「仕事でしか使っていない」が社長の口頭供述中心となっている。
「趣味が違う」という主張も口頭のみで客観的裏付けがない状態。
法人の損金論は一般論として正しいが、役員個人使用の疑義がある場合は
認定賞与リスクが潜在的に発生する可能性がある。
6、認定賞与リスクについて
現時点で税務署から認定賞与の話は出ていない。
ただし「処分について」との発言が出始めたため、当方は納得していない旨
を伝えて、処分議論も現段階では拒否している状況である。
今後、全額否認が確定した場合、役員個人使用の疑義から認定賞与認定に
引き込まれるリスクがあると懸念している。事前に対策を検討しておきたい。
【質問1】法人税の損金論の射程について
当方は「法人税は所得税と異なり、家事関連費の明瞭区分要件は適用されない」
と主張していますが、この主張の法的妥当性をどう評価されますか?
実務上、法人であっても役員個人使用の疑義がある場合は認定賞与論に
引き込まれると理解しています。
「法人の支出は原則事業のため、事業と無関係な場合のみ否認」という主張は、
判例実務上どこまで通用するのでしょうか?
【質問2】京都地裁昭和49年判決の射程について
税務署は京都地裁昭和49年5月30日判決(サラリーマン税金訴訟第一審判決)の
文言をほぼそのまま援用しています。
以下の論点についてご意見をいただきたい。
同判決は個人の給与所得者の被服費を論じたものであり、法人の損金の
判断には射程外ではないでしょうか?
YouTuber・インフルエンサーという新しい業態への適用妥当性はあるのか、
先生のご見解をお聞かせください。
【質問3】立証責任の所在について(本件最大の論点)
税務署は「社長の主観的主張だけでは不十分、客観的証拠が必要」と主張
しています。以下についてご意見をいただきたい。
法人税の損金の場合、立証責任の所在は所得税と同じと考えてよいでしょうか?
「客観的証拠がないから否認」という税務署の論理は法的に正当ですか?
調査官が「業務使用は理解できる」と認めた後の、立証責任の分配は
どのようになるのでしょうか?
「私用事実の反証」を税務署側に求めることは、法的に有効でしょうか?
【質問4】認定賞与認定の回避ロジック
現時点では認定賞与の話は税務署から出ていませんが、今後のリスクとして
最も恐れているのは認定賞与認定です。
他に有効な回避ロジックがあればご教授ください。
【質問5】有利な判例・裁決例の有無
芸能人・モデル専門の税理士法人では、衣装代の按分比率を段階的に
判断する実務指針を公表している例もあります。
芸能人・インフルエンサー・YouTuberの被服費について、納税者有利の
判例・裁決例はありますでしょうか?
国税庁質疑応答「ホステスの衣裳代負担による経済的利益」(所得税基本
通達9-8準用)の、法人案件への活用可能性はあるでしょうか?
同通達を根拠に「事業所常備+事業所のみ使用」の運用を今から整備する
ことで、過去分の救済にも繋がるでしょうか?
【質問6】交渉戦略の最適解
以下のいずれの戦略が最適とお考えでしょうか?
戦略1:全額損金を正面から主張し、審査請求・訴訟まで覚悟する
※調査官には当方からこの方向性を少し示唆しております
戦略2:按分で早期決着する
(例えば2/7、一週間7日で休日は2日という根拠で按分する)
【まとめ】ご相談したいこと
1. 経費であることの説明について
業務使用の事実をどのように立証・説明するか
社長の口頭供述以外にどのような客観的証拠が有効か(写真等は限られている)
YouTuber・インフルエンサー業態ならではの業務必要性の説明方法
2. 税務署への対抗策について
税務署が援用する被服費の論理への反論ロジック
家事関連費の考え方を法人税の損金に適用することへの反論
立証責任の所在についての主張の仕方
認定賞与認定に引き込まれないための予防策
ご多忙のところ大変恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
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