[inspire 00471] アウトバウンドコールセンター成果報酬型売上計上について 
2022年9月20日

いつもお世話になります。

【1】状況
・12月決算法人
・業種 インバウンド・アウトバウンドコールセンター
・2022.7.19税務調査開始 特官部門の調査
・資本金9000万円 売上高218億円
・社員2500名 その他多数の人材派遣会社への支払い有り
・下記【2】にあるアウトバウンド成果型報酬売上について、12月電話架電稼働・1月電話営業成果確定・1月営業成果の顧客検収という事案については、収益認識基準に従って1月に売上計上している。
・アウトバウンド成果型報酬売上に係る経費の主たるものは、アポインターの時給人件費・人材派遣会社に払う人材派遣料である。これらの人件費は、稼働した12月に債務確定するので、12月に経費計上している。
・人件費は末日締め、翌月末日払い  毎月末日に未払計上にて経費計上している。


【2】税務署が主張してきた事項

<売上計上時期> 
2022年1月及び2月に売上計上された事案について、その売上事案は
【事業の性質上、基幹経費である人件費、人材派遣費等の経費投入が12月までに終了】
しており、個々の案件の原価管理はされていないが、申告時期までの売上(決算日翌月以降2か月分の売上)について、
毎期見直しをかけて「12月度」としての作業分を得意先に請求した分について、12月分
の売上として計上しなければ、費用と収益の整合性が崩れる。

(たとえ、会計上の計上時期が1月又は2月の売上計上であったとしても、別表加算すべきだ。)

売上に対応する原価人件費を逐一拾って棚卸に計上しろとまでは言わない。



【3】当方の本日迄の反論状況  (全て録音済)

<既に行った反論1:営業代行ビジネスであるから、事業の性質上原価的であるとはいうものの、一般管理費である人件費と売上は対応関係にならず、別個のものだ>

論点となっている売上案件のフローは
2021年12月に電話アポインターが潜在顧客先に架電して営業する これを「12月稼働」という

12月のアポインターが行った一般消費者への架電営業稼働状況について、アポインターの活動が功を奏し、当社クライアントと一般消費者との間で取引契約が成立することが2022年1月~2月に確定する

当社のアポインターによる12月営業活動の結果、1月以降に営業代行業務が完了し、クライアントの検収を経て、その検収があった月に、成果報酬単価×成約数量 にて当社は売上を計上している。
この際、アポインターの稼働が12月なので、1月に売上計上する売上請求書には「12月度」と表記している。

上記の通りなので、成約があろうとなかろうと、12月に架電営業したアポインターの人件費は固定時給×時間単価による固定給が発生している。
案件獲得したことによる成果給は無い。

以上の状況であるため、アポインターの家電営業による稼働月と、売上検収月売上計上月がずれるのは当然である。
アポインター人件費は固定費であり、費用収益対応原則の考え方はなじまず、法人税法基本通達2-2-9に照らしても
当該アポインター人件費と、売上との対応関係は求められていない

従って、売上に対応する人件費が12月に計上されていることをもって、1月~2月に会計上で売上計上しているものを、
税務上の12月までの益金とする根拠は無い。



<既に行った反論2:本件ビジネスは準委任契約に基づくものであり、請負では無い>
調査官は、本件ビジネスは準委任契約に基づくものであることそのものは認めているので、この点につき納税者側と税務署側では争いは無い。

この点、法人税法基本通達2-2-5においては、請負に係る労務費は棚卸資産にすべきことが示されている。
つまり、請負業務に係る労務費は費用収益対応の原則により、課税所得を算定すべきであることが明確である。
対して、本件のような準委任契約においては、その労務費を棚卸資産にすべきとする通達にはなっていない。

本件ビジネスは、12月稼働という事実に対して12月分の人件費は発生しているが、1月以降売上検収分売上について、
通達2-2-5のような請負契約ではないため、費用収益対応原則の考えに基づく対応関係からの検討は不適切である。

人件費は成果報酬売上があろうとなかろうと発生する固定費そのものであり、本件ビジネス収益の【基幹経費】がアポインター人件費や人材派遣料であろうとも、それは【原価的】ではあるものの、売上との対応関係などとは切り離す【固定費】だ。

だから、【12月に先行して原価投入があるから、1月に計上した売上は12月に益金計上すべき】という主張は、その主張の根拠が無い。



<既に行った反論3:収益認識基準と法人税法第22条等からの検討>
売上については、収益認識基準における履行義務の充足により売上計上を行っている。
この点について、法人税法第22条の2に照らし、当社が売上に計上した額と法人税法上の益金の額に算入すべき金額との間には齟齬が無い。

にも関わらず、当社2022.1月~2月に収益認識基準により履行義務の充足を元に計上した売上が、2021年12月の益金に算入すべきとの主張をするならば、その根拠法令を示されたい。



【3】本日迄の反論状況による税務署側の反応

税理士・納税者側の言いたいことはわかるし、そうなんだろう。
しかし、期末までに人件費経費投入がされている事実は変わらない
委任と請負で、法人税法上の取り扱いが変わるなどということは無い。

だから、当期人件費投入されているものの、売上が翌期1月~2月に計上されていると、費用と収益の整合性が崩れる。
請負とか委任とかの違い等、税理士が言うようなガチガチの理論での話ではなく単純な話しだ。
(上記【2】の反論をしても強くこだわっている印象は有り)

本日の納税者側の主張については、審理と相談する。




【4】お伺いしたいこと

・当方は法人税法通達2-2-9等を反論根拠にしているが、通達2-2-9は「支払った場合」の経費処理を認めているのであって、本件のような12月末現在での未払経費計上まではカバーしていない。この点を突かれたらどうすべきか。

→当方としては、「本件人件費は原価的ではあるが固定費そのものなので、未払計上か現金支払済かに関わらず、債務はク呈しているので費用として処理したままで問題ない」と回答しようかと考えています。


・当方が上記【3】の反論をしたあと、税務署側はその主張を維持できる根拠があるかどうか。


・当方の反論にNGな点はあるか。不足していることはあるか。付け足すべきことはあるか。


・その他、留意すべきことはあるか。



どうぞ宜しくお願い致します。



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