[inspire 00904] 派遣社員にカフェテリアプランを利用させた経済的利益の指摘事項について
2025年12月12日

久保さん

梅田総合会計事務所の森です。


下記について教えて下さい。


【前  提】


業種:コールセンター事業

状況:

調査対象会社A社は、直接雇用従業員と派遣社員に対して

カフェテリアプランによる福利厚生制度を実施しています。

その利用内容に鑑み、直接雇用社員が利用したカフェテリアプランによる

経済的利益は給与として源泉税課税処理しております。

一方、派遣社員に対しても直接雇用社員と同様に、

いわゆる同一労働同一賃金のルールに基づいて、

同一の福利厚生制度を利用できるようにするため

カフェテリアプランの利用が出来ます。

派遣社員分のカフェテリアプラン利用に係る経費は、

A社としては給与処理できないので販管費処理しております。

派遣元とA社との間には、本件カフェテリアプランの利用について、

その派遣社員がいくらのプラン利用をしたのかについては、

特に報告するような契約はしておりません。


【質  問】

<税務署から検討要とコメントされた事項>

カフェテリアプラン利用に係る経済的利益について、

A社直接雇用従業員は給与として課税されている。

一方、派遣社員については、

その派遣社員が受けたカフェテリアプランに係る経済的利益について、

その派遣元における給与計算には織り込まれず源泉所得税処理はされていない。

これは不均衡ではないのか?


派遣社員が受けたカフェテリアプランに係る経済的利益を

A社としては単に販管費として処理しているが、

これは交際費又は寄付金に該当するのか、

それとも派遣元で給与課税されるべきものなのかという論点が

税務署内で問題となっていて、審理している。

税務署内でもこの状況はなにがモアベターなのか検討するが、

税理士側でも検討してみて欲しい。


とのことでした。

税理士側としては以下の通り、税務署側にこちらの考えを伝えようと思っていますが、

この対応でいいのかどうかなどについてお考えをお聞かせ下さい。


---------(税理士側からの提出書面案)----------

<1>結論

派遣従業員が派遣先から受け取ったカフェテリアプランに係る経済的利益に対して、

派遣元として(収益計上した上で)派遣従業員としての給与として源泉所得税徴収を

要するという考え方は取りえないものと考える。

また、派遣社員分のカフェテリアプラン利用料について、

交際費又は寄付金となる余地はないものと考える。



<2>理由

(1)当事者の整理

A社直接雇用の社員が使ったカフェテリアプランの利用に係る便益はその内容に鑑み、

非課税ではなく給与課税している。

これはこれらの取引に係る当事者が A社・A社の従業員であり、

それぞれその当事者が雇用契約を基礎としてA社からA社従業員に

その労働の対価として現物で支払われる給与と捉えられるためである。


一方、派遣社員分のカフェテリアプラン利用については、

の取引の当事者は A社 と 派遣社員 の二者であり、

派遣元 はこのカフェテリアプランに関する取引には

なんの契約関係もないので関与していない。


(2)派遣社員が受けるA社が実施するカフェテリアプラン利用経済的利益について


A社 と 派遣社員 との間には、厚生労働省が示す

同一労働同一賃金の原則に基づく同一の福利厚生の待遇があるべきこととされているルールに基づき、

A社の福利厚生制度下で行われるカフェテリアプランによる運用が行われていると整理される。


従って、 A社 と 派遣元 との間には、当然ながら本件

カフェテリアプランの利用に係る費用負担の約定は存在しない。


そうすると、 派遣従業員 と 派遣元 との間には、

その雇用契約によりその派遣労働の対価して支払われる給与はあるが、

本件カフェテリアプランの利用に係る経済的利益は 派遣元 が労働の対価として直接 派遣社員 に支払う対

であると事実認定できる前提がない。


所得税法上、給与所得とは、使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、

これらの性質を有する給与に係る所得とされている。


派遣社員が受ける、本件カフェテリアプランに係る経済的利益は、

上記の事実関係に鑑み、所得税法上の給与所得に該当する余地はない。


また、自社直接雇用分のカフェテリアプラン利用に係る費用が給与処理されている以上、

派遣社員分カフェテリアプラン利用に係る費用が交際費又は寄付金とされる余地はなく、

福利厚生費として取り扱われるのが相当である。



<3>結語

以上検討の通り、税務署の主張には理由がないので頭書<1>の通りの結論となる。

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審理部門が検討したあとの税務署側からの意見を当方が聞いた上で、

上記のような抗弁書を出すのがいいのか、それとも先手を打って当方の考えを伝えておいて、

税務署側の方針がある程度確定する前に動いた方がいいのか、

それとも別の主張で対応をしたほうが良いかなどのご教示をお願いできれば幸いでございます。

どうぞ宜しくお願い致します。



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