「否認リスク」を考える際には「否認根拠は何か?」を考える①-2(3/6)

『税務調査で否認される節税・否認されない節税』
2019年10月17日 開催セミナー

セミナー概要文税理士から年間に約1,000件の税務調査の相談を受けている久保憂希也が「税務調査で否認される節税・否認されない節税」と題して
●節税だと思ったのに否認された【事例】
●租税回避と否認されないための【線引き】
●各節税手法において否認されないための【要件】
を解説しました。
節税手法には非常に関心があるが、税務調査で否認されるリスクまで考えると、積極的な提案を躊躇してしまうという税理士には必見の内容です。
久保憂希也

久保 憂希也(くぼ ゆきや)

1977年 和歌山県和歌山市生まれ
1992年 智弁学園和歌山高校入学
1995年 慶應義塾大学経済学部入学
2001年 国税庁入庁、東京国税局配属 医療業、士業、飲食店、不動産関連などの税務調査を担当、また、資料調査課のプロジェクトで芸能人や風俗等の税務調査にも携わる。さらに、東京国税局にて外国人課税に関する税務調査も担当。
2008年 株式会社 InspireConsultingを設立し、税務調査のコンサルタントとして活動し、現在は全国で税務調査対策研究会を開催し、数千名の税理士に税務調査の正しい対応方法を教えている。

行為計算否認を適用するには「(税額を)不当に減少」という【額】が論点になる


久保: これ、もう、何て言うんですかね、お勉強のセミナーが嫌いなんです私。 例えばですね、行為計算否認ていうのにちょっと興味を持たれた、皆さんが。 ちょっと勉強しましょうかと、ものの本を読んだりとか、ネット上では論文とかいっぱい落ちてますので、行為計算否認、論文とかって引くと、むちゃくちゃな数出てくるんですよ。

お勉強では何て書いて、本には何て書いてあるかっていうと、いいですか、行為計算否認ていうのは、「税額を不当に減少」させたということであって、額は関係ないって書かれてあるんです。 額は関係ない、適用するかどうかに。 100円だったら適用しないけど10億円だったら適用するって言ったら、法律上おかしくなるから。 納税者の予測性、予見性がなくなるから額は関係ないって論文には書いてあるんです、論文には。

でも実際のところ、額しか関係ないんですよ、はっきり言わせてもらって。 そりゃそうでしょう、所得税を減少させた、法人税も増えた、ツーペイしてみると30万円だったと、税額が。 不当に減少かどうか分からないですけど、減少している税額が30万円だと、国税が行為計算否認やると思いますか?

他の税務調査の案件真面目にやりますよ、本当の話。 やるわけないんですからこんなの。

ですから、実務的な、現実的な、国税的な論法で言うと、【額】なんです。 無茶でかい金額でなければ、行為計算否認をそもそもやらない。 なぜなら、やる意味がないから。

なぜなら、努力と時間と結果が結びつかないからです。 当たり前じゃないですか。 国税ってどんな組織か知ってますか? 徴税コストっていうのを計算されてまして、国税って。 もう発表されて、毎年発表されているんですけど、徴税コストっていちいち考えたことあります? 1円を徴税するのにどれだけのコストがかかっているかっていう計算を毎年されるんですよ、国税庁って、恐ろしいなと思って。

言ってることはこういうことじゃないですか。 例えば調整コストが100分の1、100円の税金を稼ぐのに1円のコストがかかったとするとするじゃないですか、ってことは100分の1ってことですよ、調整コストが。 ってことは言ってることはこういうことですよ。

私の調査官の給与が500万円だとしましょう。 そしたら、1年間で5億円追徴課税してこいって言うのと同じですからね。 だって調整コスト100倍なんでしょう? 無茶苦茶やんっていつも思って働いてたんですけど。

なので、額が小さいと適用にまずならないです。 皆さんの顧問先さんに当然ですけども、まあそれぐらいだったらっていうのはいっぱいあると思うんですよ、まずならないです。 別にどこがならないんですか、何百何十何万円なんですか。 私は知りませんけど、ならないです。 資産家の方が寄せるとか、相続税と法人税と所得税でもう分散しまくる人いますけれども、寄せるっていう話であればまだしも、額的にいかないんです、普通に。

昨日もちょっと歩きながら、品川の駅前歩いてたんですけど、租税回避スキームの相談されるんですけど、で、おいくらですかって聞いてみたんですよね。 ならないです、少なくとも行為計算否認は。 この後ちょっと否認の論点というのはまだ行為計算否認以外あるので、ですけども、行為計算否認にはならないです。

ちなみにですね、これ【額】をちょっとこう、前の、セミナー、去年かな、去年のセミナーでもちょっとお話したんですけど、行為計算否認が適用されて、実際にですよ、実際に適用されて、裁判まで行って、額が公開されているものを調べられるだけ調べてみたんです、T A I N Sで。 つまりいくらの額だったら、行為計算否認が適用されてるのかなと思って、できる限り調べてみたんですよ。

一番最低金額が、税額ですよ、だから、増分と減分、ちょっと後で出てきますけど、増分と減分があるんですけど、その差額つまり「不当に減少」させたという税額がいくらだったかっていうと、500万円ちょっとが最少でした。 ほとんどの案件は当たり前ですけど、数千万円以上です。

500万円を1件だけ、500万円ちょっとの金額を1件だけ見つけましたけど、500万円で行為計算否認するのかと、私は思いましたけどね。 調整コストと合わないだろう、と私は思いましたけど、正直。 ですけど、それが最低ラインだということです。 実際はそれでもないと思いますけど。 なので、まず【額】で考えていただければと思います。




「伝家の宝刀」は抜かないから「伝家の宝刀」


久保: ニュースなんかで、最近またその総則6項であるとか、最近ちょっと後でまた出ますけど、いわゆる総則6項であったりとか行為計算否認のことを、伝家の宝刀って呼んでるのは、実は国税が呼んでるわけです、伝家の宝刀っていうね。 調査官時代に3年目の時に、無駄に勉強してたから、ある事案があって、これ行為計算否認じゃないですか、統括って言ってみたんですよ、当時の統括に言ってみたんです。 話が長いんですけどその人の話が、早い話がですね、伝家の宝刀って知ってるかと、そう呼ばれてるのは知ってますと。

  伝家の宝刀っていうのはね、古い家の居間とかの一番奥のね、畳の部屋の一番奥の、掛け軸とかツボとか置いてあるところに、刀が置いてあるんだと。 ああそうですか、知らんがなと思いながら、俺ん家ねえもん。 置いてあるんだと、ああそうですかと。 映画とかで見たことあるだろうと、いやないですけど、話終わるんですけど、伝家の宝刀っていうのはね、大事にあそこに置いてあるから価値があるのであって、ほら毎日こうやって抜いてたらあれ価値なくなるからって言って。

だから抜かないから伝家の宝刀だ、これが行為計算否認なんですよ。 そんなのしょっちゅう抜いとったら、伝家の宝刀じゃなくなるので、分かります?

例えばですね、これ伝家の宝刀と呼ばれている、総則6項はちょっと違いますけど、行為計算否認っていろんな、国税庁もいろんな批判の的になっているんですよ。 例えば一番最悪なのが、総務庁。 皆さんの官公庁のことあまり分からないかもしれないですけど、官公庁のクレーム係、いわゆる納税者とか、我々一般国民、一般市民なわけなんですけど、総務庁に全部クレームが上がるんですよ。 各省庁に、それお前とこじゃね?って、中小企業庁、経産省とかって全部振り分けられていくんですよ。

国税庁のクレームで一番多いのは何かっていうと、行為計算否認の適用基準が全く分からないっていうクレームなんですよ これ平成14年にクレーム出されてて、改善要望とそのガイドラインを出しなさいって言って、未だに出してないんですけど。 これぐらい実際には厳しいんですよ。 はい、なのでその伝家の宝刀というのはバシバシ抜かないんです。




行為計算否認の事案を見たことがない!(更生⇒不服申立て・裁判になっているはず)


久保: いいですね、これ本当にこれは私の話ですよ、私の個人的な話をさせていただきますけど、行為計算否認適用されて更正決定、更正または決定なんですけど、された事案を見たことがないんですよ、私。 年間に数百件の質問、相談、税務調査で受けてるんですけど、未だかつてないんですよ。私ですね、これたまたまですけど先週、台風の前に沖縄に行ってまして、那覇で記帳代行会社やっているので、そこの株主総会だったんです。 株主の1人が私の国税時代の同期でして、国税専門官の31期の同期でして、今14年間国税で働いてて今税理士をやってる、独立してるんですけど。 そいつとずっと3日間同じだったんですよ。 私のマンションにずっとそいつが泊まってたんで。

チンタラチンタラ酒飲みながら行為計算否認の話してましてずっと。 お前さ、14年国税にいて、査察も寮長も経験してるんですよ、そいつは。 法人税の、法人課税部門の畑なんですけど、所得税にも3年間行っているんです。 寮長もいるじゃないですか、査察も行ったことあるわけじゃないですか。 14年と言ったら今日周りの税務署の、自分が担当じゃなくても周りの、事案も見えるわけです、ぶっちゃけ。

見たことある?って聞いてみたんですよ。 あるわけねえだろうと言われましたからね。 ないですよ、普通にないですよ、報道しすぎ。 バカバカやるもんじゃないんで。

行為計算否認なんて更生やれば絶対に不服申し立てか裁判になってるはずなので、あの件数が多いように見えるんですよね、実際のところは。 見えるだけで実際のところ私見たことないんですよ、未だかつて。 自分の事案って意味じゃないですよ、人の相談も税務署行った時の周りの事案も含めてですよ、全部見てですよ。 ないんですよ今まで。 行為計算否認をちらつかされている事案はいっぱい知ってるんです。 でも更正されてる事案は見たことがないんですよ、だから額の話なんです。




税務調査では「税額を減少させる」以外の目的を主張することが大事


久保: 税務調査で行為計算否認をちらつかされるかどうか分からないですけど、これどちらにしても、節税と租税回避の区分にももちろん当たるわけですけども、税額を減少させたくてこんなことをやったんじゃありませんよっていう主張が大事っていう話なんですけど、これ漠然としてるんで、ちょっと。 実際の、今から言う例は実例ですけど、真似はしない方がいいと思います、先に言っときますけど。 真似をしない方がいいと思います、額によりますけど。

昨日の研究会でも取り上げた事例なんですけど、X 社が親会社でして、100%子会社に、ちょっと離れたところにあるんですが、地方にあるんですが。 100%子会社で、資本金が5,000万円の会社さんがあります。 実際にはこれ立ち上げてから10年弱経ってたんですけれども、債務超過になってました。

この子会社がですね。 これはずっと分かっていたんですけども、当然ですけど、子会社株式の BS 上はずっと5,000万円で載り続けるんです、当たり前です。 時間評価なんてしませんので。 X 社の決算が来たときにですね、もうすぐ決算ですと、決算前で打ち合わせと、社長。 私もよく知ってる税理士さんなんですけど、この方、この税理士さんがですね、 X 社がその当時、何もしなければ、行為を何もしなければ、所得が7,000万円だったんです。 そのまま終われば。 7,000万円だったんです、実際の話。

社長が、もう分かると思いますけど、7,000万円はさすがに。 ちょっと先生、どうなの? 何とかならんかね、ということでその税理士さんはいつもダイナミックなんですけども、やったことが何をやったかっていうと、なんと期末日に、ここの、A社。 100%株主、100%代取なんですけど、こっち側に株式売却したいと。

ほんならいくらで売却したんですかと、債務超過ですから0円なんですけど、0円にしちゃうと贈与とかっていうまた話になっちゃうんで、譲渡にしたかったら1円にしておけばいいと、対価もらわないと駄目だと。 ということで、1円にして期末日に売却して1円払ったわけですよ。

そうすると何が起こるかというと、もうそんなの簡単ですけども、X社は子会社株式売却損が4,999万9,999円出るわけです。 ってやるわけですよ。 もう一回言いますよ、真似しないでくださいね。 そういう会ではありませんので。

これ税務調査に当然入られるわけです、そりゃそうですよね。 そんなわけねえだろって言って、税務調査に翌年入られたわけですよ。 実際にはこれ半年間、税務調査にずっと入られて、これ論点これなんですよ。

その税理士さんもう慣れてますんでこういうダイナミックなスキームにですね、スキームとは呼べないですけどこれ。 ダイナミックなことに慣れてますので、飄々と答えるわけです、税務調査で。

先生、これ、許されると思います? 聞かれるわけですよ。 許されると思いますも何も売っただけでしょ?と。 親子会社から晴れて兄弟会社になりましたと、おめでとうと。 言って、いや別に、それはもう何か悪いことしましたっけ。 あれ、法律上債務超過の子会社は誰かに売却しちゃ駄目って書いてましたっけ?

そういう話をしてるんじゃないです、先生。 これって不当に税額所得を下げ、これって先生、租税回避だと思いませんか? というふうに聞かれるわけです。 何をおっしゃってるんですかと、大丈夫ですか調査官の方と。

これ何て答えるかっていうと、まさか所得がこのままいけば7,000万になって法人税が払いたくないって話終わっちゃうんで。

何て答えるかっていうと、X 社は、実際に外部借入が結構あるんですけれども、銀行から借り入れがあると。 Y 社の決算書も一緒にいつも出してるんだと、100%連結子会社なので当然ですけども、出してるんだと。 いつも銀行の人には、この業績、Y社の業績、何とかならんのですか。 ちなみにこっち側は都内の会社で、こっち側新潟にある、これ工場なんですけど。 何とかならんのですか、というふうに言われてるんだと。

そうすると、 X 社の BS から Y 社の実質的債務超過、本当にこれ債務超過なんですが、この債務超過のY社の株式が外れると、どうなるかっていうと、 BS が一気に改善し、銀行の貸し出し意欲が本当に増えるんです。 だから、節税とか、租税回避とかそういう議論じゃないんです。

経営っていうのはですね、キャッシュがなくなったら会社が倒産しますので、BSを整理し綺麗にすれば、借入もしやすくなって倒産リスクも下がって経営がうまくいくんですよ、って言って全く信じてもらえませんでしたけど、もちろんね。 そうですかなんて言う人、調査官にいませんけども、そう言い続けるんですよ。 つまり、節税目的ではございません。 所得、税額を圧縮したかったわけではございません、というふうに言い続けるわけです。

これだって実際のところ、行為計算否認が発動するわけでもないし、グループ法人税制が発動するわけでもないし、これはもう6年前の事案なんですけど。 なので否認できないじゃん、ただこれを否認する方法は実際にあったりとかするんですけど、これはもうちょっと後で、これだったらできるんじゃないのって話が出てくるんですが、これはちょっと後でいきたいと思います。

なので、税務調査で全般的に言うと、税額を減少させる目的でやったのではございません。 法人で言うと経営目的であったりとか、違う目的を答えなければならないということになりますね。




行為計算否認関連のニュース


久保: 先ほど触れましたけど、いわゆる、「伝家の宝刀」と呼ばれている行為計算否認、額が小さかったらなりません、ってこれ実務上の話です。 これかなり最近報道されているので先月ニュースになった、かなりニュースになってましたし、ヤフトピとかにも出てましたけど、結構行為計算否認もだいぶ変わった、判断が変わってくるのかなっていうところがニュースで出てました。





久保: これ日経とかで出てるんですけど、一応ちょっと出しておきますね。 6月27日に東京地裁の判決が下りまして、かねてから争ってましたユニバーサルミュージックっていう外資系の音楽会社ですね 外資系の音楽会社って言ってますけど、実際のところは音楽配信活動をだけをやっていって、国内でやっていて、実際のところの親会社は外国にあるんですけども、国内の中で組織再編を、合併なんですけどもしました。

そのときに海外のグループ会社から866億円ですよ、866億円を借り入れたというものですけども、5年間で利息が181億円計上されていまして、親会社に対する、海外に対する支払利息なんですが、それが否認されたというものですけど、これ行為計算否認の実際の事案ですが、これ東京地裁なので、まだこれから高裁に行くと思われるんですけども、国税側が圧倒的に負けてまして。 なんで負けたのかっていうのは実際に見ていただければ、細かい話になると見ていただければと思いますけど。

いわゆるパチンコグループで、実際に利息があるときは4,000億円ぐらいの借入金を無利息で貸し付けて、利息計上しなかったって雑所得に認定された、行為計算否認の事案、有名な事案ありますけど、こういった部分というのも最近は結構厳しくなってきているんで、あの行為計算否認もバカバカ、今まで以上にさらにやりにくくなってくるのかなあというふうには思います。




【節税策の否認根拠】③事実認定


久保: では次ですね。 一つ目の租税回避の否認根拠は何だったかっていうと、一つ目は法律の制定もしくは通達の改正。
二つ目は行為計算否認。
次、三つ目いきたいと思いますけども、三つ目は事実認定ということですね。

これが一番難しいかもな、事実認定が。 例しかもう出せないですけど、事実認定と言ってる時点で、法律はありませんので。 なので、これが一番税務調査で、一番難しい問題だと思うんですけど。

最近はさすがに減ってきましたけどね、やるんですよ皆さんは。 分掌変更による役員退職金の支給。

あまりいい話じゃないんですけどね、私が実際に相談を受けてやった案件は、東京の建築会社で、社員が建築工事中に不慮の事故で、工事現場で亡くなった。 上から鉄筋が落ちてきたっていうやつなんですけど、亡くなられた。

当然ですけど、損保も入っていますし、工事現場ごとに当然損保入っているんで、会社に法人に降りてきた金額の保険金が1億6,000万円。 社員が亡くなっているんですけど。

社員に対して、当然亡くなられた遺族に対して、社員の死亡退職金を支給しても、当然ですけども手残りはむちゃくちゃある。 1億円以上の手残りがあって、何とかならんかねということで、お父様、初代の方が、創業者の方がその当時社長であって、息子がその当時専務だったんですけども、分掌変更するっていうので、退職金をごぼっと抜くと、言って否認指摘受けたと。

当然ですけども税務調査入られまして、なんて否認指摘を受けたかっていうと、経営が云々かんぬんとかいろいろあるんですけど、いやいやいやそれって、保険金入ってきたから、所得圧縮したくて無理やり分掌変更したんですよね? こう言われたわけですよ。

それもうずっと調査官一点張りですよ、つまり節税なのか、租税回避行為なのか、それの争いでしかないわけですけど。 それの案件は収まってるわけなんですけども、分掌変更による役員退職金が負けてる事例ですね、裁判とかでもいっぱい判決がありますけども、読んでいるとですね判断要素の一つとして大きいのが、退職金を計上してるくせに未払いとか。

実際には退職を遡って期末日に退職したように見せかけているけど、実際の手続き登記なんかは後になっちゃってる、いうようなケースですね。 これはもう否認されると思いますけども、いわゆる事実認定っていうのが、所得圧縮目的での事実認定であれば、否認されるというリスクがあります。 一番簡単なので言うとですね、こんな感じです。




外注費か給与


久保: これは節税方法だと私は思っていませんけど、給与か外注かみたいな話と同じだと思います。 給与か外注か皆さん判断するのって、何法の何条に基づいてやりますか。 通達でも構わないですけど。

何法の何条に基づいてやるかっていうと、そんな法律はないんですよ。 なので、あり得る法律というか通達は、消費税法の1-1-1なんですね。 何でしたっけ、反復継続ぐらいしかちょっと思い出せないんですけどもどうでもいいです、あんなの。 漠然とした通達、業として成しているかとか。 借り入れがあるかとか、まあどうでもいいですけど。

いや給与か外注かっていう問題は、今後多分、皆さんの顧問先の中でも結構出てくるはずなんですよ。 簡単ですよ、だって消費税率が上がれば仕入れ税額除増やすしかないわけですから、給与を外注にできるだけ振り返れば、仕入税額控除が取れる、当たり前です。

社保がここまで高くなってくると、社会保険料の圧縮っていうのがもう税率よりも高いわけですから、実際には。 って考えると、給与を外注にしたがる、当たり前ですよそんなの。 消費税率が上がって、社保率が上がるわけですから、当たり前です。

給与か外注かっていうのは全て事実認定の問題でして、項目的には別に言い始めたらキリないですけど。 その外注さんから請求書もらっていますかとか、社員の給与の振込日と外注先さんに振り込む日って、もちろん違って当たり前ですよねとか。

社員さんだったら末締めの翌10日払いだけども、普通の取引先だったら末締めの翌末、30日サイトになっているんだったら、外注とみなそうか、とか。 材料の負担を誰がやっているかとか、パソコンは誰のパソコン使っているのかとか、こんなのどこの法律載っているのって。 名刺はどのような名刺を使っているかとか、内部の組織図見ると、内線表にその人が載っているかどうかとか。 そんなの法律何もないです、はっきり言いますけど。

なので、事実認定っていうのはいくつかの要素というのをバーっと積み上げていって、ここからここまではやりすぎじゃない? ここまでだったら大丈夫っていうことしか、もう漠然としたことしか言えないわけですけど、実際のところはこれ同じですよ。

外注か給与も事実認定の積み上げでしかないわけなので。 節税っていうのも最終的には事実認定でやられる可能性はもちろんある。