[inspire 00155] 形式基準に基く過大役員報酬の判定
2023年12月08日

久保さん


下記について教えて下さい。


【前  提】


社長の通勤交通費として通常の通勤手当の他にグリーン車利用料金を支給し、

これに対して給与課税を行っています。

今回の調査において、本件グリーン車料金相当額が

「取締役会にて決定した役員報酬支給額」を超える点から、

過大役員報酬に該当するとの指摘を受けております。

この件についてアドバイスをお願いできますでしょうか。詳細は下記になります


【前提】

納税者(以下、会社) 卸売業 売上70億円程度

同族会社(社長が大半の株式を保有)


1.役員報酬の決定の流れと支給状況

・株主総会で役員報酬限度額を定めており、具体的な金額は取締役会に

 委任(議事録あり)。

・取締役会では、株主総会で承認された役員報酬限度額の範囲内において

 代表取締役社長にその決定を一任した上で、各役員4名の報酬月額を決定

 (議事録あり)。決定額に基づいた役員報酬が毎月金銭で支給される。

・上記とは別に通勤手当を支給しており、社長にのみグリーン車の利用を認めている

(支給をすることになった議事録や規定はない)。

 そのグリーン車の利用料相当額については給与として課税し源泉徴収している。


2.調査官の主張

 社長については、毎月金銭で支給している役員報酬にグリーン車の利用料を加算した給与が、

取締役会で定めた役員報酬の金額を超えるため、その超える部分の金額(グリーン車の利用料)については

不相当に高額な役員報酬に該当し損金不算入となる。


根拠法令 法人税法34条2項 法人税法施行令70条1項1号ロ 会社法361条


【質  問】


【質問】

次の2点について久保様のご意見・アドバイスをお願いします。


1 法人税法施行令70条1項1号ロに規定する

 「各事業年度においてその役員(…)に対して支給した給与の額」は、

 グリーン車の利用料金までを含めて計算されるものか


そもそも社長の通勤に際して職務遂行の必要性からグリーン車を利用しているため、

本来グリーン車利用料金は必要経費に該当する、即ち会社法上のいう報酬にはあたらないと考えております。

しかしながら課税庁側の見解である「グリーン料金については給与として源泉徴収が必要」との見解を尊重して、

現状は給与課税の対応を行っております。

会社法が定める報酬とは職務執行の対価として受ける財産上の利益(会社法361条)を指すため、

グリーン料金であっても通常の通勤費と何ら異なることはなく、報酬には該当しないというのが当方の見解です。

したがって本件グリーン料金については株主総会等で定める類のものではなく、

法人税法施行令70条1項1号ロにおいてそのグリーン料金を含めて過大役員給与の判定を行うことは

制度趣旨からしても不合理であると考えております。

しかしながら法人税法施行令70条1項1号ロにおいては、「給与の額」には何らの限定もないので、

毎月の金銭報酬だけでなくグリーン車の利用料も含めて合計額を計算するように規定しているようにも感じられます。


この点につき、ご意見いただけますでしょうか。



2 グリーン車の利用料金について議事録などエビデンスは何もない状態であるが、

 事実上は株主総会から委任を受けた取締役会の承認を受けたものであったという主張ができるか


 社長に対してグリーン車の利用料を支給していることは役員全員の周知の事実であり、全員が認めていることです。

そのような状況から、グリーン車の利用料については取締役会では事実上承認を受けているも同然といえる状況です。

したがって、この実態をもって不相当に高額な役員報酬に該当する部分はないと主張することは可能でしょうか。


以上、宜しくお願い致します。


【添付資料】


なし




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